エボラ出血熱治療に期待があつまるアビガン錠

公開日: 2014年11月28日
著者: yakujiman
Yakujiman
プロフィール
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  • 製薬会社の学術関連部門・薬事関連部門にて、製品の学術資料・パンフレットの作成、通知・通達のチェックと情報収集、添付文書・製品表示の原稿作成、製品広告のチェック等の仕事をしてきました薬剤師です。関連する業界の情報等を集め、管理薬剤師のためのマニュアル等の作成も行ってきました。今まで携わっていた製品は、医療用医薬品・一般用医薬品の他にも、医薬部外品・化粧品、サプリメント、衛生雑貨、試薬といった幅広い分野に渡っています。
エボラ出血熱の治療薬として、最近脚光を浴びているのが、富士フィルムホールディングスの子会社である富山化学工業が開発したアビガン錠(一般名:ファビピラビル)という、抗新型インフルエンザウイルス薬です。スペイン・フランス・ドイツ・ノルウェーで4人の患者に投与され、全員症状の回復を示しているということで、エボラ出血熱の治療薬として大きな期待が寄せられています。

今までの抗ウイルス薬とは違うメカニズムで効く

アビガン錠は、もともとエボラ出血熱ではなく、新型インフルエンザに対する薬として開発されました。インフルエンザの薬としては、タミフル・リレンザ・イナビルといったノイラニダーゼ阻害薬や、シンメトレルといったM2タンパク阻害薬といったものがありましたが、アビガン錠はこれらとは異なる作用機序でインフルエンザに効果を発揮することから、新型インフルエンザで既存の薬が効かない場合に使用できるようにと開発されていました。インフルエンザウイルスはそれだけでは増殖できないので、宿主であるヒトの細胞に侵入し、RNAの遺伝情報を細胞内に放出しますが、これを抑えるのがシンメトレルになります。RNAはやがて核に取り込まれ複製されていきますが、このRNAの複製を抑えるのがRNAポリメラーゼ阻害薬と言われているアビガン錠になります。複製されたRNAとタンパク質でインフルエンザウイルスが作られ、やがて細胞外に放出され感染が広がっていきますが、この部分を抑えるのがタミフル・リレンザ・イナビルといったノイラニダーゼ阻害薬になります。


RNAをもつ新型インフルエンザの治療薬だったアビガン錠

タミフル等のノイラニダーゼ阻害薬は、細胞の外にウイルスが出ていき感染してしまうのを抑える薬なので、感染が広がってしまったらあまり効果がなく、48時間以内が勝負だと言われています。一方、アビガン錠はRNAの複製を抑えることができるので、感染が広がってからでも、また違った亜型のウイルスに対しても効果が期待されています。このことからアビガン錠は、新型インフルエンザが流行したときに、厚生労働省の要請を受けて製造開始されるという特殊な条件付きで平成26年3月に承認されました。したがって、承認は取得したものの製造販売はされていませんでした。一方、RNAをもつ他のウイルスにも効果が期待できることから、エボラ出血熱にも有効ではないかということで注目を集め、実際の使用で良い結果が見られたので、平成26年11月からギニアで60人の患者を対象とした臨床検査が行われ、12月末に結果が出ることになっています。国は既に、国内でエボラ出血熱の患者が確認された場合、「アビガン錠」の使用を認める方針を固め、結果次第では、約1ヵ月後には承認が出る見通しになっています。アビガン錠は、RNAをもつウイルスに対して期待されていて、ノロウイルスに対しても動物実験で結果が証明されています。
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