医療機関と薬局の間にあるフェンスは、独立性の象徴

公開日: 2014年12月26日
著者: yakujiman
Yakujiman
プロフィール
  • yakujiman
  • 製薬会社の学術関連部門・薬事関連部門にて、製品の学術資料・パンフレットの作成、通知・通達のチェックと情報収集、添付文書・製品表示の原稿作成、製品広告のチェック等の仕事をしてきました薬剤師です。関連する業界の情報等を集め、管理薬剤師のためのマニュアル等の作成も行ってきました。今まで携わっていた製品は、医療用医薬品・一般用医薬品の他にも、医薬部外品・化粧品、サプリメント、衛生雑貨、試薬といった幅広い分野に渡っています。
医療機関と薬局の間には、構造的に一体化しないようにフェンスなどの構造物が必要です。しかし、これに対し総務省行政評価局が高齢者や身体障害者にやさしくない構造であるとして苦情が相次いでいることから、厚生労働省に対応を求めています。

保険薬局と医療機関の間のフェンスの独立性

厚生労働省は、厚生労働省令である「保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則」において、保険薬局と医療機関は構造上、一体的なものであってはならないと通知しています。一体的なものであってはならないという「一体的構造」とはどういうものかというと、公道又はこれに準ずる道路を介さずに専用通路等により患者が行き来するような形態のものとしています。医療機関の調剤所と同様とみられるものについては、保険薬局の新規指定を行わないことになっていて、既にあるものについても更新時までに改善を指導しています。門前薬局から面分業(不特定多数の医療機関で発行された処方せんを受け付ける分業形態)へと移行している中、、実際にはクリニック等も含め門前薬局の形態で、医療機関と保険薬局が隣接しているところがかなりあります。そこで最低限、保険薬局の独立性を担保するという目的で保険薬局と医療機関の間はフェンスが必要であるという状況になっています。


申請者のモラルが問われる保険薬局のフェンス問題

2011年、申請された保険薬局指定をめぐり、保険医療機関と一体的な構造であるとして保険薬局指定拒否処分がされたことに対し、裁判となった事例がありました。高等裁判所では、医薬分業の目的達成という見地から経営上の独立性が十分に確保されていれば、構造上の独立性の規定は緩やかに解するのが妥当であるとの判決がだされました。フェンス等があるかどうかではなく、公道又はこれに準ずる道路等を介さずに専用通路等により患者が行き来するような形態かどうかで個別に判断するとされました。医療ビルのような形態は好ましくないとされていますが、総務省行政評価局は、フェンス等を設けて仕切られる必要があるといった考え方に対し、高齢化社会が進むなか、車いす利用者、体が不自由な人、妊婦、子供連れなどには不便で負担がかかり、いったん公道に出て入り直すべきという杓子定規な考えは見直すべきと苦言を呈しました。そして、これに対する厚生労働省の措置結果等について2015年1月30日までに総務省に連絡するように厚生労働省に求めています。国の施策、消費者の安全性と利便性に関しては、この医療機関と薬局との間のフェンス問題だけでなく、保険医薬品の一部負担金へのポイント付与問題や、一般用医薬品のネット販売全面解禁といったいろいろな議論が行われています。消費者の立場からすると利便性があった方が良いということになりますし、行政の立場からすると医療機関が利益優先にはしり公共の福祉よりも優先させてしまうということにもなりかねないという懸念をもつのも当然のことでしょう。いろいろな意見があると思いますが、今後どのようになっていくのか注目したい事項の1つになっています。
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