TDMの実施によるハイリスク薬の管理

公開日: 2015年02月20日
著者: yakujiman
Yakujiman
プロフィール
  • yakujiman
  • 製薬会社の学術関連部門・薬事関連部門にて、製品の学術資料・パンフレットの作成、通知・通達のチェックと情報収集、添付文書・製品表示の原稿作成、製品広告のチェック等の仕事をしてきました薬剤師です。関連する業界の情報等を集め、管理薬剤師のためのマニュアル等の作成も行ってきました。今まで携わっていた製品は、医療用医薬品・一般用医薬品の他にも、医薬部外品・化粧品、サプリメント、衛生雑貨、試薬といった幅広い分野に渡っています。
TDM(therapeutic drug monitoring)は、直訳すると「治療薬物モニタリング」ということになります。個々の患者に適した投与設計を行い、適正な薬物療法を行うためにモニタリングを行うことをいい、患者の薬物血中濃度を測定して薬物動態学的な解析をもとに最適な医薬品の用量や投与方法を設定することが行われます。

TDMを行うことの意義と留意点

TDMを行うことはどんなことに役立つかというと、まずは薬物体内動態の把握に役立ちます。特に有効血中濃度と中毒量の間が狭い医薬品では、TDMによって薬の血中濃度モニタリングをしっかり実施しながら用量等を設定していく必要のある医薬品がたくさんあります。TDMの実施は、医薬品の適正量の投与や多剤併用の可否、中毒・副作用の早期発見にも役立つばかりか、指示どおりの服薬されていないノンコンプライアンスの確認などにも利用できます。TDMというと有名なのが、治療有効域の狭い薬剤や中毒域と有効域が接近し、投与方法・投与量の管理の難しい薬剤で行われるもので、ジゴキシンやテオフィリンの血中濃度測定があげられます。特に吸収・分布・代謝・排泄といった体内動態は個人差が多く、さらに個人内変動もあることから、治療域が狭い薬剤や副作用発現域が近い医薬品は注意が必要です。


TDMが行われるハイリスク薬とその特徴

TDMが行われる医薬品には、抗てんかん薬、ジギタリス製剤、抗不整脈薬、喘息治療薬、免疫抑制薬、メトトレキサート、ハロペリドール、炭酸リチウム等があります。通常はトラフ値といって次回服用直前の血中濃度を測定し、その濃度が治療域濃度の範囲内に入っているかどうかがチェックされます。しかし、中毒量が出た場合は、ピーク依存的な副作用がでるのであればピーク時の値、AUCにより影響が出てくると思われるものにはAUCも参考にします。
例えば、抗悪性腫瘍薬のメトトレキサートでは、重篤な副作用の発現は血中濃度と時間に依存すると言われています。したがって、副作用は約48時間後の濃度が1μM以上あるいは、0.1μM以上の濃度が48時間以上持続する場合に多く現れやすくなるので注意が必要になります。


日本におけるTDMの研究の歴史と発展

TDMの開発が日本で行われたのは、1980年代で、その後TDM対象薬においてデータが蓄積され、薬物動態の研究も進んできました。高齢者や小児等においては、薬物動態学的評価も大切になってきます。血中濃度だけに固執するのではなく、病態やその他の検査結果、症状等といった臨床的所見を参考にして効果、副作用モニタリング、投与設計を考えていくことが重要になってきます。最近ではメーカーからTDM支援ソフトも入手できるようになっていて、利便性が図られています。
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