入院患者のアドヒアランスの考え方

公開日: 2015年02月20日
著者: yakujiman
Yakujiman
プロフィール
  • yakujiman
  • 製薬会社の学術関連部門・薬事関連部門にて、製品の学術資料・パンフレットの作成、通知・通達のチェックと情報収集、添付文書・製品表示の原稿作成、製品広告のチェック等の仕事をしてきました薬剤師です。関連する業界の情報等を集め、管理薬剤師のためのマニュアル等の作成も行ってきました。今まで携わっていた製品は、医療用医薬品・一般用医薬品の他にも、医薬部外品・化粧品、サプリメント、衛生雑貨、試薬といった幅広い分野に渡っています。
アドヒアランス(adherence)は、直訳すると「遵守」ということになり、患者が積極的に治療方針の決定に参加して、その決定に従って治療を受けていくことをいいます。つまりアドヒアランスが不十分な患者に対しては、しっかりと説明をしてこれを高めていく努力をする必要があります。

アドヒアランスが低下する主な原因とは

すべての患者が治療方針に沿って、しっかりと遵守事項を守り、アドヒアランスが十分な状態が望ましいといえますが、時にアドヒアランスは低下してしまうものです。その原因としては、飲み忘れということが大きな要因としてあげられます。これは残薬確認等によってチェックすることができますが、なぜ飲み忘れてしまうのかという原因をつきとめ、その対策をとる必要があるかもしれません。なるべく飲み忘れが防げるような薬剤を選択したり、適切な服薬指導を行ったりする必要がでてくるかもしれません。アドヒアランス低下には単なる飲み忘れの他に、服薬方法を誤解している場合があり、こういった面からも患者の理解度に関しては日頃より注意しておくことが大切です。また服薬拒否、服薬困難というようなことも考えられます。いかに必要性を理解してもらうかが、アドヒアランス低下を防ぐ重要なポイントになります。嚥下(えんか)困難患者が、大きな錠剤が飲みにくいため服薬できていないケース等を察知し、医療チーム内にフィードバックするのも薬剤師の大きな役目になります。


入院患者でのアドヒアランスの確認

院内処方については、薬剤師は回ってきた処方箋について正確に処方するだけでなく、実際のアドヒアランスにも気を使うことが大切です。院内の処方には、抗悪性腫瘍剤、血液凝固阻止剤、精神神経用剤等、しっかりと指示どおりに服用しなければリスクが高くなる薬も多く処方されています。たとえば、抗悪性腫瘍剤の場合は、患者の化学療法に対する不安を和らげたり、免疫抑制剤の場合は、感染症の発症や悪化を防ぐための注意事項等の説明といったように、しっかりと治療の方針とともにその薬を使う意義をしっかりと説明してあげることも大切です。


アドヒアランスとコンプライアンスってどう違う?

アドヒアランスと似たような言葉で混合しやすいワードとして「コンプライアンス」という言葉があります。「コンプライアンス」は医療関係者の立場からみて、患者がきちんと指導したとおりに薬を飲んでくれるんだろうなという医療関係者側の視点の見方になります。「ノンコンプライアンス」というと、医者が言ったとおりに薬を飲まない患者ということで、どちらかというと指示通りに薬を飲まない患者ということで、患者に問題があるというニュアンスになってきます。しかし、患者が医療関係者から一方的に指示されたとおりに薬を飲まないのは、単なる飲み忘れというだけでなく、患者に不安があったり、高齢の患者が指導内容を理解できていなかったり、薬の必要性や指示を守らなかったときのリスク、薬を飲む意義を理解していないという理由もあげられます。「アドヒアランス」は、遵守するという意味の他に、執着心という意味もあります。これこそが治療に執着し、患者自らが積極的に治療に参加していくという患者側の視点にたったアドヒアランスの特徴になります。説明において、薬剤師が患者が積極的にケアに参加できるようにしてあげるということも大切な役割になります。
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