物忘れがある高齢者患者への対応

公開日: 2015年02月20日
著者: yakujiman
Yakujiman
プロフィール
  • yakujiman
  • 製薬会社の学術関連部門・薬事関連部門にて、製品の学術資料・パンフレットの作成、通知・通達のチェックと情報収集、添付文書・製品表示の原稿作成、製品広告のチェック等の仕事をしてきました薬剤師です。関連する業界の情報等を集め、管理薬剤師のためのマニュアル等の作成も行ってきました。今まで携わっていた製品は、医療用医薬品・一般用医薬品の他にも、医薬部外品・化粧品、サプリメント、衛生雑貨、試薬といった幅広い分野に渡っています。
高齢者は加齢に伴い肝臓や腎臓の機能が低下しているので、副作用等に注意を払うとともに、嚥下能力の低下や身体能力の低下も考慮しなければなりません。また服薬指導するときにも、認知症でなくてもちょっとした物忘れ等についても考慮する必要があります。

物忘れを自覚している患者さんの話の傾聴

薬局にやってくる患者さんの中には、自分は最近物忘れがするようになったという自覚があり気にしている高齢者もいます。患者自身が気にしているケースについては、しっかりと患者さんの話を聞いて、会話の中からいろいろな情報を聞き出す必要があります。物忘れは単なる歳相応の一過性の健忘によるものなのかを観察します。もし近所で道に迷うとか、物の使い方がわからなくなるといった症状がある場合は、認知症の疑いもあるので、会話の中でそのようなエピソードがあり、患者本人が心配しているようであれば、物忘れ外来を紹介するなど受診を奨めます。いずれにしろ、患者に共感し、患者の言った言葉などを繰り返し確認し、話をよく聞いてあげることが大切です。患者との会話の中のエピソードから処方箋やお薬手帳からでは読み取れない貴重な情報を得ることができる可能性があります。


物忘れなど、高齢者の服薬指導の留意点

高齢者は、歳相応の物忘れがある人も多く、また服用している薬の数が多い傾向にあります。飲み忘れがないようにメモをつけてもらうなどの工夫も必要です。調剤の段階での一包化等の工夫も有効な対応となります。服薬指導のときは、話の内容がきちんと伝わっているかを確認することも良い方法です。たとえ認知機能が正常であったとしても、高齢者は視力や聴力の低下がある人も多く、理解する能力があっても声が聞き取れていなかったり、説明書の細かい文字が読めなかったりする場合もあるので、そういった点にも気を配ります。薬も多剤を併用している率が高く、代謝機能も低下している高齢者は、薬の副作用も出やすいという傾向があるので、話をしっかりと聞くことが大切です。


話が通じにくい高齢者だから、より真摯な態度が大切

薬剤師が服薬指導して、患者さんがきちんと指示通りに薬を飲んでこそ、しっかりとケアができていることになります。だから薬剤師は、単に機械的に薬の説明をするのではなく、患者さんの意思や患者さんとの人間関係も含めた患者さんのためのケアを行うことが大切です。医療関係者は学術的基礎知識がその背景にあることは当たり前ですが、科学者である前に人間としてしっかりしていなければならず、スローテンポの高齢者、はっきりしない高齢者の患者にも、一人一人が個々の人生を歩んでこられた一人の人間として、人生の先輩として尊重し接していくことが大切です。これは患者さんのわがままを何でも聞くということではありません。薬剤師としての経験がまだ浅くても患者さんを大切にするには薬剤師としてどうあるべきかを常に自問自答し、考えていく真摯な態度こそが大切です。
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