薬と授乳との間でゆれる授乳婦への対応

公開日: 2015年02月20日
著者: yakujiman
Yakujiman
プロフィール
  • yakujiman
  • 製薬会社の学術関連部門・薬事関連部門にて、製品の学術資料・パンフレットの作成、通知・通達のチェックと情報収集、添付文書・製品表示の原稿作成、製品広告のチェック等の仕事をしてきました薬剤師です。関連する業界の情報等を集め、管理薬剤師のためのマニュアル等の作成も行ってきました。今まで携わっていた製品は、医療用医薬品・一般用医薬品の他にも、医薬部外品・化粧品、サプリメント、衛生雑貨、試薬といった幅広い分野に渡っています。
子供が生まれ、授乳婦になっても、今度は母乳を通して赤ちゃんに服薬した薬が移行し、赤ちゃんに薬による副作用がでてくる可能性がありますので注意が必要です。人工乳にすればその心配はありませんが、やはり大切な赤ちゃん、自分の最良の栄養価たっぷりの母乳を飲ませてあげたいのが親心です。

できれば母乳で哺育したい母心の理解

最近では、母乳の栄養価の高さ等が評価され、牛乳等と違って異種タンパクを含まないのでアレルギーが少ないといわれています。母乳には免疫物質が多く含まれているため、乳児を感染から守る役割もしています。もちろんそれ以外にも母乳を乳児に与えるということは授乳婦の精神的安定にもつながります。必要のない薬の服用は避けるべきですが、必要以上に不安をあおり、授乳を控えるようにするのが望ましいとするのは行き過ぎです。もちろん添付文書に授乳婦禁忌、または授乳をさける旨が添付文書に記載されているものは、しっかりとチェックしなければなりませんが、可能なかぎり母乳哺育をしたいという母親の心情もしっかりと理解しなくてはいけません。


授乳婦への薬は、添付文書以外の情報も確認

妊婦と同様、授乳婦は母乳から赤ちゃんへ薬が移行しないかということが心配になり、授乳を続けてもよいかといった質問が多くみられます。もちろん母乳中に移行があり、乳児に影響があった薬物に関しては、医薬品の添付文書に乳児への影響の報告について記載され、授乳婦への投与禁忌や授乳中止の記載があるので注意しなければなりません。しかしそうでないものまで必要以上に不安をあおるような説明をするのは、精神面でも母親に影響を与え、母乳産生量にも影響を及ぼすこともあるので注意が必要です。添付文書だけでは情報が不十分で判断しにくい場合は、インタビューフォームや専門書等から情報を集めることも大切です。母乳のpHは約7でこれはpH約7.4の血液より低く、母乳には弱塩基性の薬、分子量が200以下の薬が移行しやすく、脂溶性の薬の濃度が高くなりやすい傾向があります。


赤ちゃんの発達状態を把握することが大切

授乳による赤ちゃん側のリスクは、状況によって変わってきます。もちろん赤ちゃんの月齢によっても変わってきますし、腎機能や肝機能の状態にも影響します。遺伝的疾患をもつ乳児や、低体重で生まれてきている乳児などでは、薬の代謝や排泄能が低かったりするので、副作用を起こすリスクが高くなっています。つまり赤ちゃんの発達状態が授乳による薬の副作用が起こる可能性に大きく影響しているので、授乳婦自身だけでなく、赤ちゃんの在胎週数や出産後日数、体重や既往歴、アレルギー等といった情報にもしっかりと注意を払う必要があります。
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