スポーツ選手を守るスポーツファーマシスト

公開日: 2015年04月17日
著者: yakujiman
Yakujiman
プロフィール
  • yakujiman
  • 製薬会社の学術関連部門・薬事関連部門にて、製品の学術資料・パンフレットの作成、通知・通達のチェックと情報収集、添付文書・製品表示の原稿作成、製品広告のチェック等の仕事をしてきました薬剤師です。関連する業界の情報等を集め、管理薬剤師のためのマニュアル等の作成も行ってきました。今まで携わっていた製品は、医療用医薬品・一般用医薬品の他にも、医薬部外品・化粧品、サプリメント、衛生雑貨、試薬といった幅広い分野に渡っています。
薬の専門家としての薬剤師の職域のひとつに、スポーツファーマシストというものがあります。スポーツファーマシストはスポーツ選手がドーピングにひっかからないように使用可能な薬の最新情報を必要に応じて提供し、スポーツ選手のコンディションを管理していく仕事です。

ドーピングから選手を守るスポーツファーマシスト

ドーピングは、特定の薬物を使用したものがその薬理作用の効果により勝利を収めてしまうことは、フェアなスポーツ精神に反するとしてスポーツの価値を下げてしまうばかりか、ドーピングを行った選手の健康に悪影響を及ぼしかねません。実際に、ドーピングにより副作用に苦しんだり、最悪命を落としたりするアスリートもいます。そんな中、世界ドーピング防止機構(WADA)が設立され、2003年に国際的な統一ルールとしてWADA規定が定められ、禁止薬物などが毎年見直されています。日本でも日本アンチドーピング機構(JADA)が2001年に設立され、2009年には日本薬剤師会と共同して「公認スポーツファーマシスト制度」という資格制度が作られました。この制度は日本でだけ有効な視覚ですが、現在約5000人が登録されています。スポーツファーマシストになるには、ドーピングとその防止全般に関する基礎講習会を受けたあと、毎年更新される禁止表国際基準変更点を中心として実務講習会をE-ラーニングで受けることになっています。禁止表国際基準の内容は、毎年1月1日に更新されるので、それを選手やその監督、競技団体に伝えることも重要な仕事の一つになっています。

学校関係職員とも連携が大切な任務

スポーツファーマシストは、ついうっかりドーピングになってしまうことを防ぐために、最新の注意を払わなければなりません。確信的に禁止薬物を使用するといったことは論外ですが、認識が甘く、つい禁止薬物を利用してしまったといういわゆる「うっかりドーピング」は多く、日本でのドーピングのほとんどは、このうっかりドーピングになっています。ドーピングに対する必要な情報がうまく選手や監督まで行き届いていなかったり、情報は行き届いてもドーピングに対するしっかりとした認識が共有できていなかったりするといった問題があります。処方箋薬はもちろん、一般用医薬品のみならず、サプリメントにも禁止されている物質が含まれていることもあります。選手が体調を崩したとき、正しく適切な薬を利用できるようにアドバイスが受けられる環境を整えることが一番大切です。ドーピングのチェックをより一層難しくしているのが、競技会のみで禁止される物質もあるということです。常にどの大会においても禁止されているものであればいいのですが、特定の競技においてのみ、あるいは特定の大会においてのみ禁止されている物質もありますので細心の注意が必要となるわけです。日本薬剤師会はホームページで「薬剤師のためのドーピング防止ガイドブック」を作成していて、そこに最新の情報を掲載しています。一般用医薬品では、かぜ薬や鼻炎薬に含まれているエフェドリン等がよくドーピングでひっかかる事例で、漢方薬でも麻黄にエフェドリンが含まれているので注意が必要です。
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