法律による医師の調合と薬剤師の調剤

公開日: 2015年04月06日
著者: yakujiman
Yakujiman
プロフィール
  • yakujiman
  • 製薬会社の学術関連部門・薬事関連部門にて、製品の学術資料・パンフレットの作成、通知・通達のチェックと情報収集、添付文書・製品表示の原稿作成、製品広告のチェック等の仕事をしてきました薬剤師です。関連する業界の情報等を集め、管理薬剤師のためのマニュアル等の作成も行ってきました。今まで携わっていた製品は、医療用医薬品・一般用医薬品の他にも、医薬部外品・化粧品、サプリメント、衛生雑貨、試薬といった幅広い分野に渡っています。
完全分業の国も多い欧米と比較して日本の医薬分業が遅れている一つの原因として、法律の問題があります。調剤業務に関しては、薬剤師法をはじめいろいろな法律に記載があり、薬剤師以外に医師の調剤が認められています。

日本の医薬分業を妨げて来た法律の壁

日本の医師法第22条、又は歯科医師法第21条では、医師や歯科医師は、必要性があると認めたときは、自ら治療上薬剤を調剤して投与することができることになっています。さらに薬剤師法第19条を見てみると、「薬剤師でない者は、販売又は授与の目的で調剤してはならない。ただし、医師若しくは歯科医師が次に掲げる場合において自己の処方せんにより自ら調剤するとき、又は獣医師が自己の処方箋により自ら調剤するときは、この限りでない。」となっていて、薬剤師以外にも医師や歯科医師は自ら処方箋に則って調剤することができるようになっています。最近では少なくなってきていると思いますが、歯医者等で頓服の痛み止め薬などを薬局に行かずにクリニックでもらったという経験がある方もいるかと思います。医師が治療上に調剤し薬を使用した場合、患者に使用した薬やその量に関して、薬剤師のチェックが入らないことになり、極論を言うと、医師がいれば薬剤師はいらないということになってしまいます。王権争い等で毒殺が王国した欧州は、早くより薬の二重チェックという概念がさかんになり、今では完全分業が当たり前なので、医薬分業という概念すらないほどですが、日本では医師法や歯科医師法が医薬分業を妨げてきたとも言えます。

医薬分業だからこそ質が問われる薬剤師

日本では、常に医師が医療の中心的な役割を担い、診察・診療から調合・投薬まで行うという風習が古くより根強くあり、これが、1956年に医薬分業法ができたものの、1975年に至るまで医薬分業率が1%だった大きな理由になっています。結果的には国が医薬分業政策を推進するために、医療費改正が行われることにより、医薬分業が進んでいきました。医薬分業の意味は大きく、処方チェックで患者の安全性向上を図るとともにお薬手帳や薬歴から、医薬品の相互作用、副作用の可能性、日常生活での注意点のアドバイスなどリスクを回避することができるようになるところは医薬分業の大きなメリットです。薬剤師も医師や歯科医師と同じく6年制となり、しっかりと幅広い臨床関連知識と豊富な調剤実習などの経験を積んできて社会にでてくるようになりました。裏を返せば、医薬分業の進展やかかりつけ薬局の推奨で、薬局の業務が多岐にわたり、それだけ調剤というものに対する責任の重大さが示されると同時に、専門的な技術が認められてきたと言えなくもありません。薬剤師は、医師のように診療という視点とは別に、薬が治療法に沿っているかはもちろん、その薬が患者にとって安全なのか、また処方された薬の効果を最大限に発揮させるために、どんな生活上の注意をしたら良いかといったことを的確にアドバイスします。いかに多くの引き出しを持っていて的確な判断ができるか、薬剤師の質が問われる時代になってきています。
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