画像診断による被爆と統一基準

公開日: 2015年05月20日
著者: yakujiman
Yakujiman
プロフィール
  • yakujiman
  • 製薬会社の学術関連部門・薬事関連部門にて、製品の学術資料・パンフレットの作成、通知・通達のチェックと情報収集、添付文書・製品表示の原稿作成、製品広告のチェック等の仕事をしてきました薬剤師です。関連する業界の情報等を集め、管理薬剤師のためのマニュアル等の作成も行ってきました。今まで携わっていた製品は、医療用医薬品・一般用医薬品の他にも、医薬部外品・化粧品、サプリメント、衛生雑貨、試薬といった幅広い分野に渡っています。
最近、X線検査やCT検査といった画像診断で用いられる医療機器の放射線に関して、ガイドラインがまとめられました。通常医療で使用される医療機器による放射線被爆はごく微量なもので、人体に影響がないごく微量なものです。しかし日本は、CT検査などを受ける人の割合が多く、それらによるいわゆる医療被曝は、先進国平均の2倍と言われています。

求められていた画像診断での医療被爆の統一基準

いくら画像診断の医療機器による医療被爆が人体に影響がない微量のものだとしても、複数の医療機関で多く検査などをしていると、それなりの量の放射線を浴びていることになります。放射線を使った画像診断は、胸部・腹部X線検査だけでなく、歯科でのX線検査、CT検査、マンモグラフィー、血管造影撮影、PETなど幅広く用いられています。複数科目を受診し検査されることで、被爆を重ねるということも十分にあり得ます。また今までも日本放射線技師会ガイドライン等がありましが統一した基準はなく、放射線量を多くしたほうがより画像が鮮明に映ることから、放射線量は高めで検査されることもあるといいます。2010年に日本放射線技師会、日本医学放射線学会、日本診療放射線技師会等の12団体が医療被爆研究情報ネットワーク(Japan Network for Research and Information on Medical Exposures : J-RIME)を作った翌年、福島第一原発事故が起こり、放射線被爆に対する意識が高まったことからも、同じ検査でも医療機関によって被爆量に数倍の違いがあるのは問題で、統一の基準が必要であると言われてきました。

検査における医療被曝のリスクと統一基準

大量の放射線を浴びるとガンのリスクが高まることは多くの研究でわかっています。またガン以外にも、精巣・卵巣・脊髄・水晶体・胎児等は感受性が高いとされていて、多量の放射線被爆により、不妊・造血機能障害・水晶体混濁・胎児奇形等の可能性があると言われています。しかしX線やCTをはじめとする検査での被爆ははるかに少量であり、ガンのリスクが増えることについては明らかになっていません。実際に検査で被爆する量を考えると、喫煙やウイルス、環境汚染物質等のリスクのほうが多いと考えられています。しかし医療機関によりCT検査等による被爆について数倍の開きがあることは問題視されていて、なるべく少ない被爆で効率よく検査を行っていくという目的で、原則として学会の実態調査を線量が低い順に並べ、4分の3に位置する値を統一基準としていくことになりました。新しく決まった放射線検査の基準としては、CT検査は成人(体重50~60kg)で頭部が1350ミリグレイ・センチメートル、胸部が550ミリグレイ・センチメートル、小児頭部CT検査だと1歳未満で500ミリグレイ・センチメートル、マンモグラフィーでは2.4ミリグレイとなっています。日本の実態は欧州等と比べ高くなっています。この統一基準を期に、画像をより鮮明にするという目的で必要以上に多めの線量で画像診断が行われることがないよう働きかけが行われています。
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