高齢者の薬物療法に対する指針が改訂

公開日: 2015年06月03日
著者: yakujiman
Yakujiman
プロフィール
  • yakujiman
  • 製薬会社の学術関連部門・薬事関連部門にて、製品の学術資料・パンフレットの作成、通知・通達のチェックと情報収集、添付文書・製品表示の原稿作成、製品広告のチェック等の仕事をしてきました薬剤師です。関連する業界の情報等を集め、管理薬剤師のためのマニュアル等の作成も行ってきました。今まで携わっていた製品は、医療用医薬品・一般用医薬品の他にも、医薬部外品・化粧品、サプリメント、衛生雑貨、試薬といった幅広い分野に渡っています。
日本は高齢化社会となってきていますが、高齢者は、副作用・有害事象が発生する頻度が高くなっています。高齢者の薬物療法における薬剤師の役割も、今後ますます大きくなっていくことが予想されます。臓器が衰え、代謝能力が落ちている高齢者は、体内に薬が多く残ってしまい、それが蓄積され血中濃度が高くなるため有害事象・副作用が起こりやすくなっています。加えて何種類もの薬を処方されています。そうした背景から、高齢者の薬物療法に対する指針が見直されました。

10年ぶりの改訂、高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015

肝臓や腎臓の機能が低下しているため、代謝・排泄能力が低下している高齢者は、通常の成人量の薬を服用しても、多くの薬が体内に蓄積してしまうため、過量の薬を服用したのと同じような結果になってしまうことがあります。しかし、薬を服用するたびに血中濃度を測定するというわけにもいかず、多くのケースでは成人量よりも少ない量から投与をはじめ、反応をみながら調製していくというような方法がとられています。そうした中、高齢者に出やすい副作用を未然に防ぐ目的で『高齢者の安全な薬物療法ガイドライン』という指針が見直され、日本老年医学会が10年ぶりに、『高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015』として発表しました。このガイドラインでは、多剤服用、代謝の低下といった高齢者の特徴に配慮して、高齢者が使用を中止することを考慮すべき薬物のリストが「ストップ」に、逆に強く使用が推奨される薬物のリストが「スタート」に列記されました。

高齢者の安全な薬物療法と期待される薬剤師の役割

『高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015』では、「ストップ」のリストに47種類の医薬品が、「スタート」のリストに19種類の医薬品が挙げられていて、それぞれ代表的な一般名、対象となる患者、主な副作用と理由、推奨される使用法に加え、エビデンスの質や推奨度まで記載されています。さらにリストとは別に高齢者薬物療法の注意点として、薬物の有害事象を避けるべき留意点や多剤投与に対する対策、服薬管理等も記載されています。さらに疾患別などの領域別の解説がつけられています。リストは75歳以上の高齢者を中心に、1ヵ月以上使用するケースを想定して、洋薬だけでなく漢方薬等もリストにあげられています。例えば不眠症の場合、まず生活改善など非薬物療法を行い、それが無効な場合に非薬物療法と併用しますが、ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、認知機能低下・転倒・骨折などのリスクがあるので控えるべきで、非ベンゾジアゼピン系睡眠薬はやはり転倒・骨折のことを考え、慎重に使用するとされています。また新規の睡眠薬であるメラトニン受容体作動薬であるラメルテオンは比較的安全であるとしています。このように、高齢者の薬物療法において、さまざまなケースで控えるべき薬、お奨めできる薬がわかりやすく整理されています。さらに領域別指針の最後には、在宅医療、介護施設の医療、薬剤師の役割についてのまとめが記載されています。
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