診療報酬の改定でも検討される残薬対策

公開日: 2015年06月10日
著者: yakujiman
Yakujiman
プロフィール
  • yakujiman
  • 製薬会社の学術関連部門・薬事関連部門にて、製品の学術資料・パンフレットの作成、通知・通達のチェックと情報収集、添付文書・製品表示の原稿作成、製品広告のチェック等の仕事をしてきました薬剤師です。関連する業界の情報等を集め、管理薬剤師のためのマニュアル等の作成も行ってきました。今まで携わっていた製品は、医療用医薬品・一般用医薬品の他にも、医薬部外品・化粧品、サプリメント、衛生雑貨、試薬といった幅広い分野に渡っています。
調剤薬局に行くと、ディスカウントショップで大量に買い物したみたいに、大きな袋の中に何種類もの薬を大量に入れたビニール袋をさげている人を見かけます。特に、高齢者の多剤投与・大量処方は深刻な問題となっています。病院を掛け持ちし、10種類以上の薬を処方されて飲んでいるといったケースもけしてめずらしくはなく、多剤投与による飲み忘れや長期投与が増えることによる残薬が大きな問題になってきています。

残薬の状況と残薬減少に向けた薬局の重要性

多剤投与されると、それらの薬による副作用が出やすくなり、さらにその副作用を抑えるために新たな薬が追加されるといった悪循環に陥ってしまっている人もいます。実際に5つの大学病院が行った調査では、高齢者入院の約1割が薬による有害作用によるもので、6種類以上の薬を飲んでいる場合は、そのリスクが一段と高まることがわかっています。多剤投与は、薬の飲み忘れなどにもつながり、こうした「残薬」は、在宅の高齢者だけで500億円にもなるということで、政府も本格的に対策に乗り始めています。残薬の対策として、かかりつけ医が残薬を調整しながら、薬局と連携していくことが重要とされていますが、中央社会保険医療協議会では、こうしたことも踏まえ「残薬」をいかに減らしていくかというのが大きな論点を持ち、2016年の診療報酬改定に向けて議論を進めています。2016年度改定では外来の機能分化・連携を進める方策、重複投薬や残薬を減らす方策について検討する方針が既に示されています。薬局による残薬確認によって、日数や投与回数を調整することで、残薬を減らすことができることから、調剤薬局の役割は大きいと言えます。

多種職連携・患者観察により残薬に貢献する薬剤師

残薬が発生する理由としては、忘れた、飲めなかった、飲まなかったと理由はいろいろありますが、残薬は多くの薬を無駄にし、医療費の圧迫にもつながります。医療費の適正化という点でも薬剤師の残薬是正における役割は大きくなっていて、適正な服薬指導や在宅や介護施設での投薬・残薬管理も大切になってきます。
最近増えてきている薬剤師の在宅医療への介入ですが、在宅医療では実際に患者宅で薬に関する管理をしているのは、訪問看護師やヘルパーというケースも多く、こうした医療スタッフとの連絡も密にしていく必要があります。こうした多種職連携が残薬を失くしていく大きなカギとなっていきます。在宅などでは、残薬としてはニトログリセリン貼付薬や塗り薬や湿布剤が多く、薬局で一包化したものがそのままの状態で使用期限を何年もすぎた状態で保管されているといった状況もあります。患者さんは、もしもの時のためにと保管していたりするケースが多くなっています。さらに、医師がこわいため実際に薬を飲んでいなくても「飲んでいます」とウソをつく場合があったり、患者さんが正直に話してくれなかったりということが、残薬を正確に判断することを難しくしています。患者さんが話しやすい雰囲気をつくりコミュニケーションをとり、副作用状況や薬の服用状況にも目をくばっていくことで残薬を少しでも減らしていくことが、これからの薬剤師に期待されています。
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