ハインリッヒの法則とヒヤリ・ハット

公開日: 2015年07月02日
著者: yakujiman
Yakujiman
プロフィール
  • yakujiman
  • 製薬会社の学術関連部門・薬事関連部門にて、製品の学術資料・パンフレットの作成、通知・通達のチェックと情報収集、添付文書・製品表示の原稿作成、製品広告のチェック等の仕事をしてきました薬剤師です。関連する業界の情報等を集め、管理薬剤師のためのマニュアル等の作成も行ってきました。今まで携わっていた製品は、医療用医薬品・一般用医薬品の他にも、医薬部外品・化粧品、サプリメント、衛生雑貨、試薬といった幅広い分野に渡っています。
薬剤師の職務の1つに薬のリスクマネージメントがあります。調剤業務の中で、薬剤師の人為的ミス(ヒューマンエラー)として調剤過誤がありますが、名前が類似した医薬品やジェネリック医薬品の推奨による取扱い品目の増加などは、調剤過誤のリスクを高める原因にもなっています。

1件の重大な事故の裏の300件のヒヤリ・ハット

リスクマネージメントについて考えるときよく使われる言葉に『ハインリッヒの法則』というものがあります。ハインリッヒの法則は、何も調剤に限ったことではなく、一般のビジネスにおいてもあてはまるものになっています。ハインリッヒの法則は、1929年にアメリカの損害保険会社の技術・調査部副部長であったハインリッヒが労働災害の発生確率を分析した結果を論文としてまとめて発表したもので、もともとは損害保険会社の労働災害におけるリスクについてのものでした。しかし、この法則はあらゆるビジネスのリスクマネージメントにあてはまり、調剤におけるヒューマンエラーを論じる際にもよく用いられています。1件の重大な事故が起こった場合、その裏には軽度な事故が29件潜んでいて、さらにはその背景に大事には至らなかったが、ヒヤリとするいわゆるヒヤリ・ハット事例が300件あるというものです。逆に言えば、ヒヤリ・ハット事象が起これば、それが300回起こる間には、29件の軽度な事故と1件の重大な事故が起こるということであり、いかに、大事に至らないヒヤリ・ハットの段階で、今後発生するであろう事故に対する対策を取り、未然に事故を防ぐことができるかが、リスクマネージャーとしての薬剤師の重要な役割になります。

ハインリッヒの法則を考え、ヒヤリ・ハットでの対応

大事故を未然に防ぐためには、ヒヤリ・ハットをしっかりとらえ、ハインリッヒの法則を頭に入れて、しっかりとミス防止策を取ることが大切です。どんなささいな問題でも、重大な事故に至らなくて良かった、ラッキーだったで済ますのではなく、なぜミスが起きてしまったのか、ミスを防ぐにはどうしたらよいか、情報を共有して対応策をとることが大きな事故を防ぐことになります。そのためには、インシデント報告をして、それを積み重ねていくことが大切です。ヒヤリ・ハットした事象(インシデント)を傷害のなかったものから重大な事故に至ったものまでレベル分類するなどして記載・整理してインシデント報告をします。そうすることで、情報共有ができ、重大な事故につながる前にそのヒューマンエラーとなる原因をつぶしていくことができます。ヒューマンエラーが起きた原因について、知識不足だったのか、技量不足だったのか、情報の共有ができていなかったのか、分析検討することはもちろん、そのときどのような対処をしたか、同じようなことが起こらないためにどのようにしたらよいかなどの分析・記録し残していくことが、ヒューマンエラーを減らすカギになります。
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