医薬品の評価を検討する上で欠かせない無作為化

公開日: 2015年07月27日
著者: yakujiman
Yakujiman
プロフィール
  • yakujiman
  • 製薬会社の学術関連部門・薬事関連部門にて、製品の学術資料・パンフレットの作成、通知・通達のチェックと情報収集、添付文書・製品表示の原稿作成、製品広告のチェック等の仕事をしてきました薬剤師です。関連する業界の情報等を集め、管理薬剤師のためのマニュアル等の作成も行ってきました。今まで携わっていた製品は、医療用医薬品・一般用医薬品の他にも、医薬部外品・化粧品、サプリメント、衛生雑貨、試薬といった幅広い分野に渡っています。
調剤業務で直接関係ある言葉ではありませんが、臨床論文を読むのに理解しておくべき統計用語の一つに『無作為化』があります。治験において医薬品の有効性・安全性をみる臨床試験を行うときに薬を服用させた治療群と、プラセボを使った対照群を公平に分ける必要がありますが、ここで必要になってくるのが無作為化です。

臨床試験などで行われる治療群・対照群の無作為化

『無作為化』を一言で言えば、ある集団を選ぶとき、個体全てが同じ確率でその集団に選ばれるように工夫した抽出法ということになります。無作為だからと、読んで字のごとく単に何の作為も持たずに抽出した、何の考えずに選んだというだけでは、無作為化とは言えません。動物実験にしても臨床試験にしても、有効性や安全性を評価するにあたって、対照群(偽薬を投与したもの)と比較されます。この際、ただやみくもに試験を行えばいいというものではなく、選ばれた対照群や治療群(実際に本物の薬を投与される群)は、無作為(ランダム)に選ばれていなければなりません。このとき選び方を間違えると、バイアス(偏り)が起こってしまい、これでは正確なデータは取れなくなってしまいます。たとえば、ある集団においてCOPDの罹患率を比較した場合、一方の集団ではCOPDと相関のある喫煙者が多くなっていて、もう一方の集団では喫煙者が少なくなっているような選び方をすると、正確な結果は得られなくなってしまいます。試験をはじめる前に、治療群と対照群でその母集団に試験の結果に影響を及ぼすようなバイアスがないようにすることが無作為化になります。


単純無作為化とブロック別無作為化

無作為化の方法は、試験を行う側、試験される側に先入観によるバイアスが生じないために、群の割り付けにおいて確率乱数表等を利用してランダム化が行うことによって、無作為抽出されます。通常臨床試験で、被験者を各群に単純に割り当てる場合に行われるのが単純無作為化と言われるもので、乱数表から奇数を治療群、偶数を対照群とするといった方法等で行われます。しかし、割り付ける例数が少ない場合、例えば硬貨を20回投げて表(○)裏(●)で割り振るとなると、「●○○●○○○●○○●○○○●○●○●●」のようになった場合、○と●の数が異なり不均衡が生じてしまいます。例数が少ないほどその影響を大きく受けてしまいます。したがって例数が少ない場合は、ブロック別無作為化といって、「○●○●」、「○○●●」、「○●●○」、「●○●○」、「●○○●」、「●●○○」を組み合わせのブロックとして、このブロック単位で無作為化して割り付けるという方法があります。このやり方だと、4の倍数で両群の均衡を保つことができます。これとは別に被験者をその背景、例えば疾病の重症度、人種、年齢、体重などの背景要因で分けてから、各層別区分ごとに無作為化する場合もあります。
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