精度の高い臨床試験は無作為化と盲検化から

公開日: 2015年08月24日
著者: yakujiman
Yakujiman
プロフィール
  • yakujiman
  • 製薬会社の学術関連部門・薬事関連部門にて、製品の学術資料・パンフレットの作成、通知・通達のチェックと情報収集、添付文書・製品表示の原稿作成、製品広告のチェック等の仕事をしてきました薬剤師です。関連する業界の情報等を集め、管理薬剤師のためのマニュアル等の作成も行ってきました。今まで携わっていた製品は、医療用医薬品・一般用医薬品の他にも、医薬部外品・化粧品、サプリメント、衛生雑貨、試薬といった幅広い分野に渡っています。
食品の食経験から、その食品の有用性などを調べる場合には、よくある一定の母数を対象にアンケート調査や試験を行い、その経過を観察しながら健康との因果関係を調べていきますが、これは観察試験と呼ばれる手法になります。一方、医薬品の開発では、介入試験といって、薬の効果や影響などを調べるために、実際に患者に医薬品を使ってその効果や影響を見ることで、よりエビデンスの高いデータを集めることができるようになります。

公正性の敵、主観を取り除く盲検化による方法

臨床試験は、薬の効果や安全性を試験するのに大切なもので、特に疑薬(プラセボ)との比較試験は、薬の働きを知る上で信頼性のある方法となっています。しかし、これには試験が公平に行われているという大前提のもとに成り立っています。最近では医療分野でのデータ改ざんや捏造が目立っていますが、そうした特殊なケースを除いては、試験はちゃんと公平に行われていると思われがちです。確かに意図してデータを書き換えたり作ったりするのは論外ですが、どうしても試験につきものなのが、先入観によるバイアス、つまり偏った思い込みによるものがあります。このバイアスは、治験などの試験を行う側と被験者の先入観から起こってきます。試験を行う側は、この薬はよく効くはずだからという先入観をもっていると、結果判定のときによく効くように結果を判定しやすくなってしまいます。患者つまり被験者側も、新薬だから効くはすということで、いわゆるプラセボ効果(疑薬でも効いたと思ってしまう)があります。そういうことをなくすため、まず母体のバイアスをなくすべき無作為化が行われ、さらに試験者や被験者が本当の薬なのか偽薬なのかわからなくする盲検化という方法がとられます。

盲検化試験で一番重要なのは、偽薬が見破られないこと

盲検化は、試験をするときに、試験者や被験者が、本物の薬なのか偽薬なのかをわからない盲目状態にすることで、先入観による影響を排除するものですが、薬か偽薬かを試験者は知っているが被験者に知らせない方法を単盲検化、試験者も被験者もわからない状態で行う方法を二重盲検化と言います。被験者と試験者の両方がわからなくしておくことが、本当の意味での先入観排除になることから、特に医薬品の作用を調べる試験では二重盲検試験が行われます。二重盲検試験の場合は、治験依頼者から独立した試験コントローラーが割り付け表を作り、これによって試験者も被験者もわからないように、本物の薬を飲ませるか、偽薬を飲ませるかが割り振られます。しかし、いくら本物の薬か偽薬かを教えられていなくても、色や匂い、味などでわかってしまっては意味がないので、二重盲検試験を行う際には、偽薬がいかに外観はもちろん、匂いや味まで区別できないような形で行われるかということが大きなカギとなっています。
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