医薬品の効果や影響を調べるエビデンスに優れた比較対照試験

公開日: 2015年08月31日
著者: yakujiman
Yakujiman
プロフィール
  • yakujiman
  • 製薬会社の学術関連部門・薬事関連部門にて、製品の学術資料・パンフレットの作成、通知・通達のチェックと情報収集、添付文書・製品表示の原稿作成、製品広告のチェック等の仕事をしてきました薬剤師です。関連する業界の情報等を集め、管理薬剤師のためのマニュアル等の作成も行ってきました。今まで携わっていた製品は、医療用医薬品・一般用医薬品の他にも、医薬部外品・化粧品、サプリメント、衛生雑貨、試薬といった幅広い分野に渡っています。
医薬品の有効性・安全性を評価する治験において求められることは、適切で十分にコントロールされた試験であるということです。それには、評価の標準となる対照群(偽薬を服用するグループ)との比較をきちんとすることと、試験にバイアスや先入観が入り込まないように適切に試験することが大切になってきます。

オーソドックスなプラセボ同時比較対照試験

比較試験は、対照群(プラセボ群)と薬物群との比較をすることで、相対的かつ客観的に医薬品の有効性や安全性をみるものですが、その中で最もオーソドックスに行われているのが、プラセボ同時比較対照試験です。この試験は対照群として有効成分を含まない偽薬(プラセボ)を服用するグループと、本当に本物の薬を服用するグループで試験を行うものです。この方法は、薬を飲んだという心理的効果が有効性に大きく影響を及ぼすプラセボ効果が起きやすいもので、実際に治療が実施されなかったとしても重大な悪い結果にならない比較的軽い疾病、例えば喘息などでは重症でないものに対して行われます。エビデンスがしっかりしているからといって、なんでもかんでもプラセボ同時比較対照試験が行われるのではなく、進行性の疾病、重篤で致死的な疾病を対照とする試験には、倫理的にも問題となるので行われません。実際の治験・臨床試験では、試験者や被験者のバイアスを少なくし、かつ一つの施設での偏りを少なくするため、無作為化・盲検化を行い、他施設で比較対照試験が実施されます。

アクティブコントロールを用いた比較対照試験

プラセボ同時比較対照試験に次いでよく行われる試験が、実薬同時比較対照試験です。
対照として、偽薬(プラセボ)ではなく、実際臨床の場で既に使われている基本的な治療薬を用いて行われます。治療の必要性が高い場合などで偽薬(プラセボ)を使うことが適切でない場合などに選択される方法ですが、国際的に臨床開発する場合などは、国により標準的に対照薬として使用されている薬(アクティブコントロール薬)が違ったり、用法・用量が異なっていたりするという問題点もあります。プラセボ同時比較対照試験が不適切で、対照薬もみつからない場合は、異なる投与量の試験群を3群以上設定して、投与量と効果の関係を調べて比較することで、有効性を判定する試験が行われますが、このように異なる投与量から有効性を比較判断する方法は、用量同時比較対照試験と言われます。これ以外にも、対照薬を全く用いない無治療の群と比較する無治療同時比較対照試験等があります。患者数の少ない場合は、歴史比較対照試験といって、過去に実施された試験と同一試験方法で試験を行い、成績を対照とするといった方法がとられます。しかし、無治療同時比較対照試験や、歴史比較対照試験の場合は、主観が入り込む余地があり、エビデンスとしては、プラセボ同時比較対照試験等に比べて低くなります。
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