2015年介護保険法改正がかかえる大きな問題点

公開日: 2015年08月28日
著者: yakujiman
Yakujiman
プロフィール
  • yakujiman
  • 製薬会社の学術関連部門・薬事関連部門にて、製品の学術資料・パンフレットの作成、通知・通達のチェックと情報収集、添付文書・製品表示の原稿作成、製品広告のチェック等の仕事をしてきました薬剤師です。関連する業界の情報等を集め、管理薬剤師のためのマニュアル等の作成も行ってきました。今まで携わっていた製品は、医療用医薬品・一般用医薬品の他にも、医薬部外品・化粧品、サプリメント、衛生雑貨、試薬といった幅広い分野に渡っています。
最近、寝たきりなどの高齢者が入居するいわゆる「老人ホームもどき」の施設が問題になっています。無届のまま運用されていて、火災を起こしてしまったり、ひどいケースだと身体拘束などの虐待が発覚したりしているケースもあります。重度の要介護者の増加、介護家族の自己負担増、介護報酬の引き下げといったことから、お世辞にも環境が良いとは言えない状況になっています。

増える老人ホームもどきの無届施設

新聞報道などによると、最近増えてきている老人ホームもどきのシニアマンションで、入居者をベッドにベルトで固定し、居室のドアを外からロックして中から出られないようにしていたというものがありました。これでは身体拘束の虐待以外の何ものでもありませんが、なかなか入居待ちで特養に入れなかったり、あるいはお金がなくては入れなかったりという理由で、入居している人も甘んじてその待遇を受け入れているというのが実態となっています。しかも当該マンションは医療法人が不動産会社と組んで運営していて、要介護4・要介護5といった重度者が中心だったといいます。本来、高齢者を居住させ、食事や介護又は健康管理等を提供する場合は、有料老人ホームとして届け出ることが老人福祉法で義務付けられていますが、実際には、賃貸マンションや民家に高齢者を居住させて系列の介護事業所からヘルパーを派遣して無届のまま容易に事業を始めるといったケースが増えています。これは手続きが面倒、自治体から干渉されたくないという思いもあるのだと思います。届出がなくても良質のホームもありますが、介護保険制度が改正され地方に権限を委託することになると、ますますこうした問題の地域格差が拡がっていくことが予想されます。

対策が求められる負担増え、質が下がる介護サービス

一方、特別養護老人ホーム(特養)においても質の低下が問題になっています。2015年の介護保険法改正により、原則要介護3以上の中重度者に入所が限定されました。すると、重度で全介助が必要な入居者が増えて、オムツ交換や入浴介助をこなすだけで精一杯となり、肉体的疲労も大きくなってしまいます。さらに看護・介護職員の配置基準は変わっていません。つまり介護職員一人当たりにかかる負担がどんどんと大きくなっています。ただでさえ人手不足の介護職員が、居心地の良い施設を渡り歩くなんていうことも起こるだけでなく、ストレスなどからくる虐待が増えることが懸念されています。特に最近は、きつく叱られたり、人間関係がうまくいかないといって辞めてしまったり、肉体的にもきつく長時間束縛され、給料もあまりもらえないとなると、楽できて儲かる仕事へと人は移っていってしまい、なおさら介護職員の人材不足に拍車をかけています。民間の介護事業者も慈善事業ではなく利益追求で儲かってなんぼの世界でやっているため、負担が少なくて楽な軽度者しか入所させないというところが増えています。重度者の最後の砦とも言われる特養ですが、介護職員不足や質の低下に加え、介護される側も新たに2015年8月からは、低所得者向けの食費と部屋代の軽減策の対象がより厳格となるほか、一定以上の所得がある利用者の自己負担が1割から2割に引き上げられてしまいます。入所するのも順番待ち、入所できても高額な支払と質の低下したサービス、下手をすると無届の劣悪施設に入ってしまうという時代、しっかりとした対策が待たれます。
このエントリーをはてなブックマークに追加
Crown 転職サイト比較 ランキング