医療費削減を考え浮上しているリフィル処方箋問題

公開日: 2015年09月02日
著者: yakujiman
Yakujiman
プロフィール
  • yakujiman
  • 製薬会社の学術関連部門・薬事関連部門にて、製品の学術資料・パンフレットの作成、通知・通達のチェックと情報収集、添付文書・製品表示の原稿作成、製品広告のチェック等の仕事をしてきました薬剤師です。関連する業界の情報等を集め、管理薬剤師のためのマニュアル等の作成も行ってきました。今まで携わっていた製品は、医療用医薬品・一般用医薬品の他にも、医薬部外品・化粧品、サプリメント、衛生雑貨、試薬といった幅広い分野に渡っています。
医療費削減の中で、大きな問題となっているのが、いわゆる患者が医療機関で処方してもらった薬を使用しないという残薬です。実際に厚生労働省が平成25年度に行った「薬局の機能に係る実態調査」においては、1,927人の患者に医薬品が余った経験があるか質問したところ、過半数の人が余ったことがあると回答しています。理由としては、飲み忘れや自己調節といったものが多くなっています。これに対して、調剤薬局が受けた処方箋の中で、残薬により日数や投与回数の調整が行われたのはわずか0.23%という低い数字に留まっています。2015年7月22日、中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小員会が開催され、残薬問題にからんで、分割調剤やリフィル処方せんについても話がでています。

日本医師会は猛反対、どうなるリフィル処方箋の議論

2014年6月24日閣議決定している「経済財政運営と改革の基本方針2014」では、社会保障改革の一環として、調剤重視から服薬管理・指導重視への転換の検討がうたわれていて、その中でリフィル処方箋というものが示されています。これは、薬剤師が処方変更の必要がないかを直接確認した上で、一定期間内、同一の処方箋を繰り返し利用して調剤するもので、米国では既に一般的に行われています。一方ドイツではリフィル処方箋制度は行われていません。2015年6月30日に閣議決定された規制改革実施計画においても、医薬分業推進下での規制の見直しという項目で、リフィル処方箋の導入や分割調剤の見直しに関する検討をし、2015年度中に結論を出すこととなりました。リフィル処方箋制度が議論にあがったことで、不快感を示しているのが日本医師会です。リフィル処方箋は、1回受診すると、処方箋が出され、あとはその処方箋をもとに薬局に行けば、薬剤師が患者さんの状態を確認し、大丈夫そうであれば何回かその同じ処方箋をつかって調剤を行うというもので、患者としても何回も医療機関を受診しなくてよく、そのつど再診料を支払うこともなければ、病院やクリニックで長い間待たされて、時間をムダに使わなくて済むという大きなメリットがあります。もちろん国としても医療費が削減できます。しかし日本医師会としては、患者の状態を診ること自体が診察行為であり、論外だと猛反発をしています。慢性患者が1年間も病院を受診しないというのはいかがなものかという意見になっています。

それぞれの立場で違うリフィル処方箋への想い

患者の立場からすると、ほとんど体調に変化もないのなら、近所の薬局で薬だけさっさともらって済ませたい、1~2ヵ月おきに何ともないのに薬をもらうために病院に行って、時間と金を使うのは馬鹿らしい、ましてや血圧も自宅で測れるし、針を刺して血液をちょっと採取し検体を送る検査キットを利用すれば、血糖だってコレステロールだって中性脂肪だって測ってくれる。それでほとんど変動もないのにいちいち病院なんか行ってられない、病院の雰囲気だけで具合が悪くなってしまうなんて言う考えかたの人もいます。残薬があった場合、医師に話をするよりも薬局の方が話しやすく、医師と顔を合わせることなく調整してもらえるので、薬局では残薬告知のハードルは下がります。しかし医師の側からすると、特にかかりつけ医としてであればなおさら、自分が担当した患者を、1年も放っておけるか、そんなことでは責任をもった診断・治療ができないというのももっともな意見です。リフィル処方箋の期間を考えるのか、疾病によって認めるのか、薬剤師の職務として診療行為に当たるので論外であり認めないのか、医療関係者の連携というものが地域医療の中で重要視されていく中で、いかに患者への安全性と利便性の両方を満たしたかたちで検討できるかが大きなカギになりそうです。またリフィル処方箋とすることがどのくらい残薬を減らすことに貢献するようになるのか、本当に減るのかもなかなか検証が難しい問題です。
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