米国FDAが承認した女性用バイアグラと呼ばれるフリバンセリン

公開日: 2015年11月04日
著者: yakujiman
Yakujiman
プロフィール
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  • 製薬会社の学術関連部門・薬事関連部門にて、製品の学術資料・パンフレットの作成、通知・通達のチェックと情報収集、添付文書・製品表示の原稿作成、製品広告のチェック等の仕事をしてきました薬剤師です。関連する業界の情報等を集め、管理薬剤師のためのマニュアル等の作成も行ってきました。今まで携わっていた製品は、医療用医薬品・一般用医薬品の他にも、医薬部外品・化粧品、サプリメント、衛生雑貨、試薬といった幅広い分野に渡っています。
2015年8月18日、米国の厚生労働省にあたるFDA(米食品医薬品局)が、フリバセリンという薬を承認したことが話題になっています。このフリバセリンは、商品名がAddyiという薬なのですが、「世界初の女性の性欲を高める薬」ということでネット等でも注目を集めています。

ときめきを作るフリバンセリンとバイアグラはここが違う

バイアグラは男性に対するED治療薬として、対するフリバンセリンは女性の性的欲求低下障害(HSDD)の治療薬として、ともに性に関する悩みに対する薬です。フリバンセリンとバイアグラの決定的な違いは、作用機序にあります。バイアグラは男性性器への血流を増大させることでEDに対して効果を発揮しますが、フリバンセリンは、脳内に作用します。脳に作用することでセロトニンの分泌を抑え、ドーパミンの分泌を促進させることで閉経前女性の性的欲求低下障害(HSDD)を治療していきます。ドーパミンの過剰分泌をセロトニンが抑制しているわけですが、このセロトニンの働きを抑えることで、快楽ホルモンとも呼ばれるドーパミンの分泌が促進されます。すると快楽ホルモンですから気持ちよくなり気分が高揚し、感情も高まってきてドキドキし、顔が赤らんできます。さらにフリバンセリンによりノルアドレナリンも増加し、血圧が上がりナチュラルハイ状態になっていき、加えて性欲を強めるテストステロンの分泌も促されます。よく恋をすると、ドキドキときめいたり、気持ち的にムラムラしたりしますが、実はこのときもセロトニンが減少して、ドーパミンやノルアドレナリンが増加しています。つまり、フリバンセリンは、恋をしたときと同じような状態にする働きがあります。またバイアグラは性行為の前に必要に応じて飲まれますが、フリバンセリンは毎晩1回ずつ服用することになります。

フリバンセリンの日本での承認の壁と問題点

少子化が深刻な社会問題になっている日本、フリバンセリンが救世主になるのではなどという人も出てきています。日本では既にバイアグラは勃起不全の薬ということで承認にされているわけですが、フリバンセリンの承認はどうなるのかということを考えると、かなりのハードルがあるのではないかと思われます。性行為をする気が起こらない、性行為をしても全然感じないといった性の悩みを訴えている夫婦にとっては、どうにかしたいというのは切実な問題であると思います。その一方で、バイアグラとは違い、フリバンセリンを使って女性に悪戯をするといった悪用が有識者の間でも懸念されており、承認に対してはいろいろと壁がありそうです。本来フリバンセリンは、ドイツのベーリンガーインゲルハイムが抗うつ剤として開発していたものですが、吐き気やめまい、失神や眠気といった副作用が問題となり、FDAでも承認されませんでした。こうした副作用のことからも、日本での承認の壁は高くなると思われます。また日米では性の考え方も違うでしょう。ただ海外で発売されるとなると、個人輸入代行業者を介しての個人輸入は可能になり、日本にいても合法的に入手しようと思えばできてしまいます。個人輸入したものを、輸入した個人以外の他人に使用するといった間違った使い方をするケースも出てくると思います。本当に必要としている人とそうでない人の見分けは難しいですが、海外で新しい薬の承認の話があるたびに、個人輸入と薬の適正使用ということを考えさせられます。
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