医薬品の汚染防止のための無菌操作と滅菌

公開日: 2016年01月04日
著者: yakujiman
Yakujiman
プロフィール
  • yakujiman
  • 製薬会社の学術関連部門・薬事関連部門にて、製品の学術資料・パンフレットの作成、通知・通達のチェックと情報収集、添付文書・製品表示の原稿作成、製品広告のチェック等の仕事をしてきました薬剤師です。関連する業界の情報等を集め、管理薬剤師のためのマニュアル等の作成も行ってきました。今まで携わっていた製品は、医療用医薬品・一般用医薬品の他にも、医薬部外品・化粧品、サプリメント、衛生雑貨、試薬といった幅広い分野に渡っています。
医薬品の中には、無菌状態で扱わなければいけないものとして点眼薬や注射薬のような無菌製剤があります。無菌とは呼んで字のごとく、菌がいない状態ということになります。またせっかく滅菌をして無菌状態を作り出したとしても、しっかりと無菌操作を行わないと汚染されて無菌状態ではなくなってしまいます。

滅菌・無菌・殺菌・除菌の定義の違い

滅菌や無菌は、殺菌や除菌など類似したような言葉があり、しっかりと定義を理解し使い分けられるようにしておくことが大切です。「滅菌」とは、全ての種類の微生物を殺滅し又は除去し、生育可能な微生物が全く存在しない状態をつくることで、日本薬局方では微生物の生存する確率が100万分の1以下になることをもって滅菌と定義されています。「滅菌処理」とは滅菌状態を作りだすための処理ということになります。滅菌の結果、生育可能な微生物が存在しない状態となりますが、この状態が「無菌」で、「無菌操作」というのは、微生物及び微粒子を許容レベルに制御するために、供給する空気、原料及び資材、構造設備並びに取り扱う人を管理した環境下において無菌医薬品に係る製品の無菌充てんその他の作業を行うことを言います。一方、「殺菌」は文字通り菌を殺すことで、滅菌のように滅ぼす・全滅させるということではなく、一部を殺してだけでも殺菌と言えてしまいます。つまり殺菌しても細菌毒素やプリオンなどの高分子化合物が存在している可能性があるため、最終的にはフィルターを通すといった処理が行われます。「消毒」は、付着または含まれている病原性微生物(全ての微生物ではない)を、死滅または除去させ、害のない程度まで減らしたり、感染力を失わせたりすることを言います。「除菌」は、限られた空間に含まれる微生物の数を減らし、清浄度を高めることを言います。

優れた無菌設備もせっかくの滅菌器具も人の不注意で台無しに

滅菌というと、微生物の生存する確率が100万分の1以下となりますが、いったいどうしたらそんな状態をつくり出せるのかというと、そのための強力な機器が、高圧蒸気滅菌機(オートクレーブ)になります。高圧蒸気滅菌とは、115~118℃で30分、121~124℃で15分、126~129℃で10分といった形での滅菌になります。その他、γ線や紫外線による照射滅菌や、エチレンオキサイドガスによるガス滅菌などの滅菌方法があります。オートクレーブは細菌・ウイルスなら全て滅菌することができますが、熱で変性しやすい医薬品や器具には使用することができません。ガラス製の器具などは滅菌バックに入れオートクレーブにかけ、プラスチック製などの熱に弱い器具については、照射滅菌やガス滅菌で滅菌したものを、清浄な環境であるクリーンルーム・クリーンベンチ・安全キャビネットなどで調整を行い、無菌操作をした後、最終滅菌としてメンブランフィルターを使ってろ過滅菌をします。しかし、無菌操作には細心の注意が必要で、いくら優れた無菌設備や滅菌装置があっても、汚れた衣服での入室や、未熟な手洗いなどで細菌を持ち込んでしまえば意味がなくなってしまいます。ちなみに人の手を滅菌しようとすると、人体の細胞ごと殺さなければならないことになってしまい理論的に人の手を滅菌するということは不可能ですので、滅菌手袋を注意深く装着するということになります。
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