注意したい高齢者への処方ポイント

公開日: 2016年01月08日
著者: yakujiman
Yakujiman
プロフィール
  • yakujiman
  • 製薬会社の学術関連部門・薬事関連部門にて、製品の学術資料・パンフレットの作成、通知・通達のチェックと情報収集、添付文書・製品表示の原稿作成、製品広告のチェック等の仕事をしてきました薬剤師です。関連する業界の情報等を集め、管理薬剤師のためのマニュアル等の作成も行ってきました。今まで携わっていた製品は、医療用医薬品・一般用医薬品の他にも、医薬部外品・化粧品、サプリメント、衛生雑貨、試薬といった幅広い分野に渡っています。
高齢者は、加齢とともにさまざまな生理機能が低下しています。またその低下の程度は個人差が大きくなっています。多くの薬は吸収されたあと肝臓で代謝を受けますが、薬の体内動態と薬物に対する反応は加齢により大きく変化してきます。

加齢による体の変化と薬の服用に関する注意点

ヒトは歳をとると胃酸の分泌量が低下し、腸などの運動機能が低下してきます。さらに消化管の血流量の低下や消化管粘膜表面積も減少してきます。胃酸の分泌量低下は、薬物の吸収力の低下につながります。また腸などの消化管の運動機能低下により、胃から小腸への移動時間が遅延してくることにより血中濃度の立ち上がりが遅くなってきます。加齢によって筋肉量が少なくなってくると、相対的に体脂肪率が上ってきて、脂溶性の薬物は体からの消失が遅くなってくることも考えられます。脂溶性薬物の代表例としてはジアゼパムなどがありますが、ジアゼパムの静脈注射では、若者の分布容積に対して高齢者では大幅に増加しているという報告があります。つまり薬物の分布が広範囲にわたり、組織への取り込みが大きくなっていると言えます。また加齢とともに肝機能が低下してくることにより、肝臓での薬の代謝機能が低下してくるので、肝臓で代謝されていく薬は血中濃度が上ってしまいます。加えて腎臓の排泄機能も衰えてきているため、体から薬がでていかず、薬の効果や副作用が大きくでてきやすくなっています。

高齢者への対応に対して注意するべき点

高齢者に対しては、もちろん消化機能の低下、肝機能や腎機能の低下を考慮して、薬の投与を考えなければなりません。高齢者は、代謝機能が低下しているため、薬が蓄積しやすく副作用が強く出やすい傾向にあります。また薬に対する反応性が変化して、薬に対する感受性が増大したり低下したりするケースがあるので、注意が必要です。ただ、こうした高齢者の体という視点以外にも、高齢者の特徴としていろいろなことを配慮しなければいけません。高齢者の中には認知症になっている人もいて、その場合は家族にしっかりと薬の使い方を説明しなければなりませんし、認知症ではなくても歳とともに理解力が低下してきています。その上、複数の薬を処方されているケースが多く、いかに間違いなく服用してもらえるかということが大きなカギになってきます。視力の衰えなどで細かい文字が見にくくなってきていて、説明書をうまく読めなかったりすることも考慮してあげないといけませんし、多くの薬の服用による相互作用はもちろん、愛用している健康食品などもチェックしておく必要があります。また筋力の衰えによる転倒などにも配慮して、向精神薬や起立性低血圧を起こすような薬の場合は、特に注意が必要です。加齢による体の変化、視覚・聴覚の低下、代謝機能の低下、理解力低下による飲み忘れや飲み間違い、多くの薬の処方や健康食品の利用による相互作用といったところに配慮しながら服薬指導を行っていく必要があります。
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