妊婦への服薬指導で留意する点

公開日: 2015年12月11日
著者: yakujiman
Yakujiman
プロフィール
  • yakujiman
  • 製薬会社の学術関連部門・薬事関連部門にて、製品の学術資料・パンフレットの作成、通知・通達のチェックと情報収集、添付文書・製品表示の原稿作成、製品広告のチェック等の仕事をしてきました薬剤師です。関連する業界の情報等を集め、管理薬剤師のためのマニュアル等の作成も行ってきました。今まで携わっていた製品は、医療用医薬品・一般用医薬品の他にも、医薬部外品・化粧品、サプリメント、衛生雑貨、試薬といった幅広い分野に渡っています。
妊婦は、普通の人に比べて高リスクなので特に注意をする必要があります。妊娠中は、ホルモンのバランスや代謝が普段とは異なっていて、薬に対する作用も通常の時とは変わってきています。鑑査を含む調剤はもちろん、服薬指導についてもいろいろと注意をする必要がありますし、また、いろいろと薬に対して不安をかかえている人も多いので、安心させてあげられるような誠実な対応も大切です。

妊婦に服薬指導するときに注意したいポイント

妊婦といっても、特に注意を要さないといけない時期があります。妊婦に対する調剤では、母体の生理変化、胎児への催奇形性、薬物の胎盤移行性といったようなことを考えないといけません。受精卵は子宮内で分化していき、受精後17日から57日に脳をはじめとする中枢神経や心臓等の循環器、それに消化器が形成され、妊娠16週ころまでには胎盤が完成し、発育・成長していきます。妊婦で特に注意をしなければいけないのが、組織が形成しはじめ胎盤が完成するまでの間の妊娠4週から15週にかけての時期です。妊婦の場合は、妊娠週数を確認するとともに、特に初診の場合、医師がそのことを知っているのかどうかを確認しておくことが大切です。妊婦に対する服薬の可否については、添付文書だけからでは判断しにくい部分も多いため、そういった場合はインタビューフォームや専門書等も利用して確認するのが良いでしょう。

妊婦の生理と薬を投与するにあたってのリスク

妊娠中は、プロゲステロンの分泌が増え、消化管の運動が低下するので胃酸分泌の低下が起こります。そして血漿容積が増えるので、細胞間液の貯留が増えるため、薬の血中濃度が低くなる傾向があり、出産後6~12週にかけて徐々に回復していきます。また血漿容量が増えるために心拍出が増大し、糸球体ろ過量も増えるため、セフェム系抗生物質などでは消失が速くなったりします。妊婦が受ける影響は、受精から2~3週間以前だと、薬の影響が強いと着床できず流産の可能性がでてくるものがあります。受精後8週くらいまでは中枢神経や心臓、消化器、四肢などの影響を受けやすく、9週以降は口蓋などで異常をきたす可能性があります。12週までは、催奇形性の可能性があるので、可能な限り薬は使わないほうが良いでしょう。また妊娠5カ月を過ぎると、薬物による胎児の機能や発育に影響が出てきます。この時期のNSAIDsは胎児の動脈管を収縮することがあり、ACE阻害薬では胎児死亡例が報告されています。最終月経から28日以上たっている場合は、妊娠を念頭に考える必要があり、薬は必要量をできるだけ短期間にとどめるように工夫が必要です。添付文書で「投与しないこと」となっているものはもちろん、「投与しないことが望ましい」となっているものも原則投与しないようにします。妊婦に対するリスクについては、米国やオーストラリアで客観的基準が示されています。FDAでは今までA(安全)、B、C、D、X(禁忌)に分けて添付文書で定時していた妊婦へのリスクですが、バラツキも多く記述型の添付文書にする動きが出ています。
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