スポーツ分野で活躍するドーピング防止活動

公開日: 2016年03月04日
著者: yakujiman
Yakujiman
プロフィール
  • yakujiman
  • 製薬会社の学術関連部門・薬事関連部門にて、製品の学術資料・パンフレットの作成、通知・通達のチェックと情報収集、添付文書・製品表示の原稿作成、製品広告のチェック等の仕事をしてきました薬剤師です。関連する業界の情報等を集め、管理薬剤師のためのマニュアル等の作成も行ってきました。今まで携わっていた製品は、医療用医薬品・一般用医薬品の他にも、医薬部外品・化粧品、サプリメント、衛生雑貨、試薬といった幅広い分野に渡っています。
「スポーツファーマシスト」という言葉があるとおり、ドービングを厳しくチェックし、ドーピングが起こらないようにしていく重要な役割にも薬剤師は大きく関与しています。ドーピングには大きく分けて2種類あります。1つは、ロンドン五輪で問題となっているロシア選手のドーピング問題のような「確信犯ドーピング」です。ドーピングリストの薬だと認識しているのにもかかわらず服用し、あわよくばドーピングがばれずに競技成績を上げたいというものです。もう1つは、日本におけるドーピングの大半と言われているいわゆる「うっかりドーピング」です。ドーピングというと医療用医薬品のホルモン剤や筋肉増強剤ばかりを連想しがちですが、一般用医薬品やサプリメントでもドーピング検査にひっかかるものがあります。それをドーピング禁止リストのものとは知らずに服用してしまうというケースです。

スポーツファーマシストの育成と禁止薬物

「うっかりドーピング」で悪意がなかったにもかかわらず、無知だったためうっかり出場資格をなくし、一生懸命練習してきたことが出せなくなったというようなケースをなくすため、日本アンチドーピング機構(JADA)と日本薬剤師会は共同で、「公認スポーツファーマシスト制度」という資格制度をつくり、資格認定をしていますが、約5000人が公認スポーツファーマシストとして登録されているといいます。ドーピングの対象となる薬は3つに分けて考えなければなりません。1つ目は常に禁止されているもの、2つ目は競技会のみで禁止されるもので、普段は使用できるが競技会の前や期間中に禁止されるものです。3つ目が特定の競技についてのみ禁止されるものです。日本人選手で多くみられるのが、競技会前や競技会の期間中のみ服用できないエフェドリン等がはいったかぜ薬や鼻炎薬を飲んでしまうといったケースです。普段は服用できますので、ついうっかり大会期間中も服用してしまったりします。世界ドーピング機構(WADA)には、常に禁止されているものとして無承認物質の他に、蛋白同化薬、ペプチドホルモン、成長因子及び関連物質、β2作用薬、ホルモン調節薬及び代謝調節薬、利尿薬と隠蔽薬があげられています。競技会時に禁止されるものは、興奮薬、モルヒネなどの麻薬、カンナビノイド、糖質コルチコイドがあげられています。うっかりドーピングをやってしまう可能性が高いのが、鎮咳去痰薬として使用されているβ2作用薬、風邪薬や鼻炎薬に含まれている興奮薬に該当するエフェドリンやナファゾリン、漢方薬に入っている興奮薬に該当する麻黄、陳皮、半夏などです。かぜでよく使われる葛根湯には麻黄が入っているので注意が必要です。

禁止薬物でも使えるケースもあるという例外とは

禁止薬物に関して、持病がありどうしてもその薬を使用しなければならないというケースもありますが、その場合は、TUE(治療目的使用に係わる除外措置)制度を利用し、事前申請を行い、認められれば、その選手に対してのみ例外的に該当禁止薬物の使用が認められるようになっています。この他、特定の競技にのみ使用が禁止されているものもあります。当然とも言えますが、航空スポーツや自転車、モーターサイクルなどでは競技会時はアルコールが禁止されています。またアーチェリーもアルコール禁止になっています。このように競技によって禁止されるものもあれば、大会によっても独自に禁止されているものもあるので、こうした細かい情報をしっかりと把握し、選手が安心して競技に打ち込めるようにすることが、スポーツファーマシストに期待された職務になっています。
このエントリーをはてなブックマークに追加
Crown 転職サイト比較 ランキング