癌治療につかわれている分子標的治療薬

公開日: 2016年02月15日
著者: yakujiman
Yakujiman
プロフィール
  • yakujiman
  • 製薬会社の学術関連部門・薬事関連部門にて、製品の学術資料・パンフレットの作成、通知・通達のチェックと情報収集、添付文書・製品表示の原稿作成、製品広告のチェック等の仕事をしてきました薬剤師です。関連する業界の情報等を集め、管理薬剤師のためのマニュアル等の作成も行ってきました。今まで携わっていた製品は、医療用医薬品・一般用医薬品の他にも、医薬部外品・化粧品、サプリメント、衛生雑貨、試薬といった幅広い分野に渡っています。
抗癌剤には、シクロホスファミドに代表されるアルキル化剤、メトトレキサートに代表される葉酸代謝拮抗薬、テガフールをはじめとしたピリミジン代謝拮抗薬、抗アンドロゲン薬や抗エストロゲン薬、アロマターゼ阻害薬といったホルモン薬、クレスチンのような免疫強化薬がありますが、それ以外に分子標的治療薬があります。

すべての患者に効くわけではない分子標的治療薬

分子標的治療薬というものはどういうものかというと、変異遺伝子や変異タンパク質など癌細胞が持っている特定の分子のみに直接働きかけて、癌細胞が増えるのを抑えていく薬です。癌細胞を狙いうって作用するために、正常な細胞の細胞分裂も妨げられることによって起こってくる脱毛や白血球減少といった副作用をより少なく抑えることができます。ただ、副作用が全く起こらないというわけではありませんし、人によっては効果がないといったケースもあります。例えば乳癌の場合は、その癌細胞の表面に「HER2タンパク」というタンパク質があり、これが癌細胞に「増殖しろ」という命令を出しています。乳癌に使われる分子標的治療薬であるトラスツズマブ、ペルツズマブといった薬は、HER2タンパクが働かないようにブロックすることで、癌細胞の増殖を抑えています。つまり、薬がHER2タンパクにくっつくことで、それが目印となって免疫細胞が癌細胞を攻撃し治療していくものです。ここで重要なのが、これらの分子標的薬は、HER2タンパクに対して働きかけているということで、HER2を持っていない人には効果がないということです。したがってHER2陽性の人に用いられるのですが、これは乳癌患者の15~20%にとどまっています。

標的としている分子がそれぞれ異なっている分子標的薬

分子標的薬は、基本的には腫瘍細胞の表面にある受容体に特異的に結合することで、直接働いたり、そこにあるチンキナーゼやマルチキナーゼ等の酵素を阻害したりしていきます。一言で分子標的薬といっても、標的とする分子によっていろいろな薬が開発されてきています。分子標的薬は、腫瘍細胞を標的として、そこにナチュラルキラー細胞や単球が結びつき抗腫瘍効果を発揮していきますが、標的となる標的分子は薬により様々で、それにより目的とする癌の種類も異なってきます。たとえば悪性リンパ腫では、CD20と呼ばれるB細胞にある癌化したB細胞を活発にさせるスイッチにあたる部分の働きを抑えるため、CD20を標的分子とした薬が使用されます。また癌には血管がありませんので、新しい血管を作ることにより周りの組織から血液を引いてきて進行していきますが、その時に必要となるのが、血管内皮増殖因子(VEGF)で、このVEGFを分子標的としているのが、大腸癌や乳癌に治療に役立っているVEGFを標的分子としている抗癌薬です。
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