胃腸薬・便秘薬でおなじみの酸化マグネシウムの副作用

公開日: 2016年02月03日
著者: yakujiman
Yakujiman
プロフィール
  • yakujiman
  • 製薬会社の学術関連部門・薬事関連部門にて、製品の学術資料・パンフレットの作成、通知・通達のチェックと情報収集、添付文書・製品表示の原稿作成、製品広告のチェック等の仕事をしてきました薬剤師です。関連する業界の情報等を集め、管理薬剤師のためのマニュアル等の作成も行ってきました。今まで携わっていた製品は、医療用医薬品・一般用医薬品の他にも、医薬部外品・化粧品、サプリメント、衛生雑貨、試薬といった幅広い分野に渡っています。
酸化マグネシウムは、塩類下剤として、腸管の蠕動運動を亢進することから便秘症によく用いられます。腸管内に水分を移行させることにより、腸管の内容物を柔らかくしカサを増すことで、腸管を刺激し排便を促し便秘を解消していきます。さらにアルカリ性で制酸剤として胃酸を中和する働きもあるので、便秘の他、胃・十二指腸潰瘍や胃炎等にもに用いられることが多くなっています。さらに腸内でシュウ酸と結合するので、シュウ酸の腸内吸収を阻害することで、尿中のシュウ酸イオンを減らすことにより、結石となるシュウ酸カルシウムの形成を抑えることから尿路結石の発生予防にも用いられています。そんな中、重篤な副作用の報告もあることから、2015年10月に添付文書改定通知が出されました。

高マグネシウム血症の初期症状にしっかり注意する

医薬品医療機器総合機構によると、直近の3年で酸化マグネシウム服用により因果関係が否定できない高マグネシウム血症が19例報告され、うち1例は死亡例だったことが明らかにされています。高齢者では重篤な症状になりやすいことや、便秘の人では腎機能が正常であっても重篤な例が報告されていることから、添付文書に慎重投与として高齢者が追加されるとともに、高齢者への投与の項に高マグネシウム血症に関する注意が追加されました。さらに重要な基本的注意に、必要最小限の使用にとどめ、症状があらわれた場合には医療機関を受診するよう指導する旨が追記されています。高マグネシウム血症は、初期には悪心・嘔吐や起立性低血圧、傾眠、全身倦怠感、腱反射の減弱などが見られ、症状が進むとともに、嚥下障害や房室ブロックなどが起きてきて、最終的には昏睡や呼吸筋麻痺、心停止などに至ってしまいます。報告された事例では、定期的な血清マグネシウム濃度の測定が行われていなかったため、意識消失等の重篤な症状があらわれるまで高マグネシウム血症の発症に気づかれなかった症例が多いことから、酸化マグネシウムを服用していて、吐き気や立ちくらみ、めまい、脈が遅くなる、皮膚が赤くなる、力が入りにくくなる、体がだるい、眠気でぼんやりするというような初期症状がある場合は、放置すると重篤な症状になる可能性もあるので、すぐに医療機関を受診するよう患者に注意喚起することが大切であるとされました。

一般用医薬品においても添付文書が改訂

酸化マグネシウムは、処方箋なしでドラッグストア等でも購入できる一般用医薬品にも胃腸薬、便秘薬、解熱鎮痛薬等に使われています。一般用医薬品においては、塩類下剤であるスラーリア等、本来の制酸作用や瀉下作用を期待して配合されている他、ロキソニンSなど解熱鎮痛薬では胃腸の副作用を軽減するために配合されている場合もあります。配合剤が多い一般用医薬品では、胃腸薬や便秘薬とは一見関係なさそうな解熱鎮痛薬などにも酸化マグネシウムが配合されていることもあるので、注意が必要です。今回の酸化マグネシウムの副作用報告を受けて、一般用医薬品においても、酸化マグネシウムを配合している製品の使用上の注意に「高齢者は服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談すること」との記載が追加されることになりました。
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