ライザップに見る景表法とリスクヘッジ

公開日: 2016年02月17日
著者: yakujiman
Yakujiman
プロフィール
  • yakujiman
  • 製薬会社の学術関連部門・薬事関連部門にて、製品の学術資料・パンフレットの作成、通知・通達のチェックと情報収集、添付文書・製品表示の原稿作成、製品広告のチェック等の仕事をしてきました薬剤師です。関連する業界の情報等を集め、管理薬剤師のためのマニュアル等の作成も行ってきました。今まで携わっていた製品は、医療用医薬品・一般用医薬品の他にも、医薬部外品・化粧品、サプリメント、衛生雑貨、試薬といった幅広い分野に渡っています。
ライザップというと、SMAPの香取さんや、生島ヒロシさんなどが見事までに筋肉質で引き締まった体になったことをテレビCMなどで広告しています。多くのタレントが実際に体が引き締まったという実績があるようです。ところが、ライザップに対して、広告について景表法に関連して広告を改善するように申入書が神戸のNPO法人の消費者ネットから出されました。

ライザップの広告のどこが指摘されたのか

ライザップというとダイエットというイメージが強く、ダイエットというと薬事関連でいろいろと違反や行政指導が多い分野でもあります。しかし、ライザップは実際に健康食品・サプリメント等と違い、食事や運動を管理していくことで、その結果体が引き締まっていくというものですので、薬機法(旧薬事法)での違反にはなりません。しかし、事実と違うこと、または事実を誤認させるような内容の広告をすれば景表法違反となってしまいます。景表法での違反となると、優良誤認と有利誤認に大きく分けられます。実際にダイエットをうたって、ダイエットできなかったとか、その根拠がないということであれば、景表法でいう優良誤認になりますし、取引において事実と違った広告をして取引を有利にしようとすると有利誤認になります。ライザップは多くのタレントが実際に体を絞れているなどの実績があることからも、ライザップが指摘を受けたのは、優良誤認ではなく有利誤認の方でした。指摘された内容は次の「プログラム開始1ヵ月までの間は全額返金保証の期間とさせていただき、内容にご納得いただけない場合、全額を返金させていただきます。制度の適用には一部例外がございます。詳しくは当ジム会則をご覧ください。」とありました。一方、実際「全額返金は会社が承認した場合に限られる。」という記載が会則にありました。これでは不親切であり、消費者は、どんな場合でも1ヵ月以内なら全額返金してもらえるものと誤認するのではないかということから、景表法の有利誤認に当たるのではないかとの指摘を受けたものでした。

あとあとのリスクを踏まえ、ライザップが取った英断

ライザップは消費者ネットからの指摘に対して、申し入れは法的根拠を欠くとして法令違反はないというスタンスを取りながらも、指摘された会則の規定を削除したり、いかなる理由でも納得いただけないときは全額返金する旨をホームページに示したりするなどの対応をしています。法令違反かどうかでいうと、一応「一部例外がある」と記載はしていましたが、法令違反とはいかないまでも、その範囲が不明確で不親切であった部分はあるかと思いますが、法的には問題ないことを主張しつつも、消費者ネットの申し入れを受け入れた形は、組織を運営・経営していく中での危機管理としては、上手な対応だったと言えます。たとえ法的に非がなくても、消費者からの意見やクレームはしっかりと受け止め、それに対して正当に評価し対応していくことの大切さを再認識させられる事件です。
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