化血研のインフルエンザワクチン問題

公開日: 2016年03月02日
著者: yakujiman
Yakujiman
プロフィール
  • yakujiman
  • 製薬会社の学術関連部門・薬事関連部門にて、製品の学術資料・パンフレットの作成、通知・通達のチェックと情報収集、添付文書・製品表示の原稿作成、製品広告のチェック等の仕事をしてきました薬剤師です。関連する業界の情報等を集め、管理薬剤師のためのマニュアル等の作成も行ってきました。今まで携わっていた製品は、医療用医薬品・一般用医薬品の他にも、医薬部外品・化粧品、サプリメント、衛生雑貨、試薬といった幅広い分野に渡っています。
冬になると、インフルエンザのワクチンを接種する人もいるかと思いますが、2015年は今までのA型2種類、B型1種類の3価ワクチンから、A型2種類、B型2種類の4価ワクチンになっています。通常、インフルエンザワクチンの製造に関しては、毎年流行の具合をみて4~5月にワクチン株が決定されていて、今年2015年は、10月1日から季節性インフルエンザの予防接種が始まりました。

問題となった化血研のインフルエンザワクチン

日本ではインフルエンザワクチンの製造は、北里第一三共ワクチン、阪大微生物病研究会、武田薬品工業、そして問題となった化血研の4社で行われています。このうち、化血研だけは、国家検定合格をしたものの厚生労働省の確認調査に対する書類の提出が遅れて、予防接種が始まった10月1日までの出荷が間に合わない事態となりました。当初は、厚生労働省も数日中に確認を終えて出荷できるとの見通しを立てていましたが、それからしばらくして、国が承認した製造方法と異なる方法にて製造していたことが発覚し、出荷自粛となってしまいました。化血研では348カ所が承認書と異なっていたことを認め報告しました。この中で厚生労働省は製品への影響が問題となるであろう2カ所について新たな資料を求めて品質と安全性を確認しました。その後、厚生労働省は化血研のインフルエンザワクチンに対して、品質と安全性に重大な影響を及ぼす問題はないとして出荷を認めています。ワクチンでの問題となると、1989年のMMRワクチンにおいて、阪大微研が承認時と異なる製法でおたふくかぜワクチンを製造したことにより1800人が無菌性髄膜炎の被害にあったという問題がありましたが、またも同じようなことが起きてしまった結果となりました。

悪質きわまりない製薬企業の隠蔽体質

化血研では、会社とは独立した形での第三者委員会を設置して、客観的に徹底調査を行って、その結果役員の多くを処分し、新体制で臨むこととなりました。厚生労働省が承認した内容とは異なる方法で製造していたことは、医薬品医療機器法(旧薬事法)違反であり、行政への裏切りでもあり、患者の安全性を無視した行為であり、さらに化血研は別製品でも同様の隠蔽を続けていたことが発覚しました。厚生労働省は、国民の命に責任をもつものとして、いろいろ検討した上で、刑事告発の可能性も示唆しています。ワクチンは、生物学的製剤としてより厳密な品質と、安全性に対するチェックを行うべきものとして、医薬品医療機器法に定められています。おたふくかぜワクチンの前例がありながら、残念ながら今回また別の会社で同じような隠蔽体質による事件が起こってしまいました。組織ぐるみで立ち入り検査の時に承認書どおりに製造しているかのような記録を偽造していたということですが、一度なくしてしまった信頼は大きく、今後信頼回復していくためにはかなりの努力が必要となることでしょう。
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