慢性副鼻腔炎には効果がなかったリゾチーム

公開日: 2016年03月09日
著者: yakujiman
Yakujiman
プロフィール
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  • 製薬会社の学術関連部門・薬事関連部門にて、製品の学術資料・パンフレットの作成、通知・通達のチェックと情報収集、添付文書・製品表示の原稿作成、製品広告のチェック等の仕事をしてきました薬剤師です。関連する業界の情報等を集め、管理薬剤師のためのマニュアル等の作成も行ってきました。今まで携わっていた製品は、医療用医薬品・一般用医薬品の他にも、医薬部外品・化粧品、サプリメント、衛生雑貨、試薬といった幅広い分野に渡っています。
2011年2月、武田薬品工業が製造販売していたセラペプターゼ製剤について、喀痰の融解・排泄促進や抗腫脹作用に関して、プラセボ群との間で統計学的有意差が認められなかったことから自主回収となる問題がありました。これを受けて、同じ消炎酵素薬であるブロメライン、リゾチーム、セミアルカリプロテナーゼ、プロナーゼにおいても、既に効能を持っている慢性副鼻腔炎の腫脹の寛解、気管支炎の喀痰喀出困難に対する効果が疑問視されるようになり、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品再評価部会において消炎酵素薬の再評価が行われました。

既にリゾチームは慢性副鼻腔炎に対して保険がきかない

リゾチームは、蛋白分解酵素で、in vitroの実験で、副鼻腔炎の患者の鼻汁を分解し、粘稠度を下げる働きに加え、ヒト鼻腔粘膜より採取した線毛細胞の線毛運動を有意に増加させるという報告がありました。そして承認後、再度効能効果がきちんとあるかどうかチェックするために、慢性副鼻腔炎、気管支炎、気管支喘息、気管支拡張症の4つの効能について再評価が行われました。このうち慢性副鼻腔炎に関しては、原因菌が生育するために必要なタンパク質の合成をを阻害する抗生物質であるクラリスロマイシン療法によるリゾチームの上乗せ効果が確認できなかったことから、リゾチームの製品をもつエーザイなど製薬メーカー5社が適応から慢性副鼻腔炎を削除するべく申請を2015年5月に行っており、それが承認され、承認され効能の変更となりました。リゾチームの効能変更の内容は、効能にある「慢性副鼻腔炎の腫脹の緩解」という効能が削除され、気管支炎、気管支喘息、気管支拡張症の喀出困難に対する効能はそのまま残ることになりました。添付文書の改正までは猶予期間がありますが、保険請求は、「慢性副鼻腔炎の腫脹の緩解」の削除について承認された2015年12月11日から、保険請求ができないようになっています。

医療用だけでなく、一般用医薬品の鼻炎薬にも影響

一般用医薬品では、鼻炎用内服薬については都道府県が承認権限を委任されている承認基準があり、そこにはリゾチームとブロメラインが含まれていました。しかし今回の再評価結果を受けて、一般用医薬品の鼻炎用内服薬の承認基準から、塩化リゾチームとブロメラインが削除されることになりました。今までの承認基準では、リゾチームやブロメラインの配合も認められていましたので、薬局などで処方箋なしで購入できる一般用医薬品の中には、副鼻腔炎の効能を持ったまま、リゾチームやブロメラインが配合された製品が販売されています。今後厚生労働省は、リゾチームが入った鼻炎用内服薬の承認については行わず、製薬メーカーには、一般用医薬品の処方の中からリゾチームを取った製品に切り替えるよう促しています。
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