医薬品をより有効かつ安全なものにするための市販後調査

公開日: 2016年05月02日
著者: yakujiman
Yakujiman
プロフィール
  • yakujiman
  • 製薬会社の学術関連部門・薬事関連部門にて、製品の学術資料・パンフレットの作成、通知・通達のチェックと情報収集、添付文書・製品表示の原稿作成、製品広告のチェック等の仕事をしてきました薬剤師です。関連する業界の情報等を集め、管理薬剤師のためのマニュアル等の作成も行ってきました。今まで携わっていた製品は、医療用医薬品・一般用医薬品の他にも、医薬部外品・化粧品、サプリメント、衛生雑貨、試薬といった幅広い分野に渡っています。
市販後調査は、正式には製造販売後調査で、読んで字のごとく医薬品等の市販されてからの安全性や有効性の調査のことを言います。医薬品は承認時にその有効性や安全性について審査され承認されますが、承認されてからも医学・薬学などの学問は、日々進化を重ねていて、医療技術の進歩や基礎研究による新たな知見により常に変化しています。このため常に有効性や安全性についてチェックをしていかなければなりません。

法律でも規定されている市販後調査

医薬品医療機器等法においては、医薬品等の承認後でも、常にその有効性や安全性について調査し、その結果に基づいて評価をする制度ができています。特に新薬については、治験において多くの臨床試験が行われてきたものの、承認時点では限られた評価資料しかないことから、再審査制度により原則8年間の市販後調査を行うことになっています。新薬が発売されると、治験とは異なる多様な状況下で医薬品が使用されるようになります。そのため有効性や安全性を確認するために「使用成績調査」が行われます。さらに、治験の対象となることが少ない小児・高齢者・妊産婦・腎機能障害患者・肝機能障害患者などの患者での安全性や長期使用における安全性や有効性を確認する「特別使用成績調査」などが実施されます。また新薬とは別に、全ての医薬品に対し有効性や安全性に疑義が生じた場合、厚生労働大臣は再評価を行うことになっています。この再評価制度では、最新の医学・薬学の知見にあった評価をすることになっています。この他市販後の安全性を担保するために、安全性定期報告制度や副作用・感染症報告制度があり、GVP省令やGPSP省令が出され基準が作られています。

医薬品が安全に使われるための副作用・感染症報告制度

再審査や再評価とは別に、医薬品等の市販後安全対策のために行われているのが、「副作用・感染症の報告」です。医薬品医療機器等法においては、副作用等の報告に関して第68条において、製造販売業者等及び医薬関係者からの報告が義務づけられています。副作用・感染症報告制度は、副作用や医薬品による感染症の未然防止が大きな目的となっていて、情報を収集することによって、副作用の初期症状の早期発見や重篤化の防止、副作用が起こってしまった時の医療措置などについて情報を蓄積していくといった役割があります。メーカー(製造販売業者)は副作用その他の事由によるものと疑われる疾患、障害又は死亡の発生、医薬品等の使用によるものと疑われる感染症の発生を知ったときは、速やかに報告する義務があります。また薬局開設者や病院などの医師・歯科医師・薬剤師・登録販売者等にも同様に報告義務が課せられています。これら市販後調査によって、副作用情報の評価などが行われ、必要な安全対策が取られることになり、評価内容によって、医薬品の製造・販売の停止や、用法・用量や効能・効果の変更、添付文書等の使用上の注意改訂等が行われることになります。市販後調査で得られた安全性情報に関しては、添付文書から予測可能なものなのか、死亡や重篤な障害に結びつくものなのか、医薬品と副作用の因果関係はどうなのかといった視点で検討・判断されていきます。市販後調査を行うことで、適正使用情報が蓄積され、それを評価・分析することで、必要に応じて医薬品等を有効かつ安全に使用するための適正使用情報が適時適切に医療機関に情報伝達されて、医薬品等の有効性や安全性が高まっていきます。
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