日本の医療保険制度におけるDPC制度

公開日: 2016年05月25日
著者: yakujiman
Yakujiman
プロフィール
  • yakujiman
  • 製薬会社の学術関連部門・薬事関連部門にて、製品の学術資料・パンフレットの作成、通知・通達のチェックと情報収集、添付文書・製品表示の原稿作成、製品広告のチェック等の仕事をしてきました薬剤師です。関連する業界の情報等を集め、管理薬剤師のためのマニュアル等の作成も行ってきました。今まで携わっていた製品は、医療用医薬品・一般用医薬品の他にも、医薬部外品・化粧品、サプリメント、衛生雑貨、試薬といった幅広い分野に渡っています。
DPC制度は、日本の保険制度において、診断名(Diagnosis)と医療行為(Procedure)の組み合わせ(Combination)によって患者を分類して、ある疾患に対して行われる医療行為の均質性に着目して、分類された患者群ごとに標準的な支払額を設定する包括支払い方式です。

DPC制度と包括支払い方式・出来高計算方式

日本の医療は、従来は診療行為ごとの点数をもとに計算するいわゆる「出来高計算方式」となっていました。出来高払いによる計算は、医師が必要であると判断した医療行為を十分に提供し、そこで適切な診療が保証できるという大きなメリットがある反面、医療機関が必要以上に疑問のある検査や薬剤の過剰処方をするというデメリットも生んできました。今後ますます高齢化社会が進み、日本も医療費が財政を圧迫するようになっていく中で、医療の質の保証と効率化の両立を図っていかなければならないということで出てきた考え方が、DPC制度による包括支払い制度で2003年から導入されています。DPC制度は、入院患者が治療した病気の中で最も医療資源を使った一疾患のみに厚生労働省が定めた1日当たりの定額の点数からなる包括評価部分に、従来部分の出来高評価部分を加えて組み合わせて医療費が計算されます。手術をしたり、リハビリを行ったり、胃カメラなどドクターフィー的要素の部分は従来どおり医科点数表に基づいた出来高評価となりますが、入院基本料、検査、投薬、画像診断といった部分、いわゆるホスピタルフィー的要素の部分については、包括評価部分となります。包括評価部分については、診断群分類ごとに1日当たりの包括点数が決まっていて、これに入院日数と決められた医療機関別計数をかけることによって計算されます。

DPC制度の導入とそのメリット・デメリット

DPC制度は、各医療機関がDPCにするかどうかの選択を求めるものではなく、手を上げた病院がDPCの条件を満たしていればDPC対象病院となるものです。急性期病院の場合は、治療を効率的に行えば、出来高方式のみの場合よりも収益が上がりやすく、導入条件を満たしていれば、手を上げるところが多くなっています。DPC制度は、医療機関のコスト意識を高め、過剰な薬剤の使用が減ったり、不要な検査が減ったりし、また後発医薬品の採用拡大にもつながっています。そして在院日数の短縮化にもつながっています。一方で医療機関側のコスト削減に対するインセンティブが強くなりすぎてしまうと、必要な薬剤や検査が行われない過少診療が起き、医療の質を下げてしまう原因にもなります。包括項目の医療は薄くなり、出来高項目の医療が手厚くなるといったアンバランスを生み、DPC制度は必ずしも患者にとって適切な医療の提供になるとは言えないという声もあります。また導入により平均在院日数は減少していますが、再入院率が増加しているというデータもあります。だからこそインフォームドコンセントなど、患者への丁寧な説明・納得が大切になってきていると言われています。
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