中南米で流行しているジカ熱のリスク

公開日: 2016年04月27日
著者: yakujiman
Yakujiman
プロフィール
  • yakujiman
  • 製薬会社の学術関連部門・薬事関連部門にて、製品の学術資料・パンフレットの作成、通知・通達のチェックと情報収集、添付文書・製品表示の原稿作成、製品広告のチェック等の仕事をしてきました薬剤師です。関連する業界の情報等を集め、管理薬剤師のためのマニュアル等の作成も行ってきました。今まで携わっていた製品は、医療用医薬品・一般用医薬品の他にも、医薬部外品・化粧品、サプリメント、衛生雑貨、試薬といった幅広い分野に渡っています。
2016年はリオデジャネイロ五輪の年ですが、ブラジルを含む中南米でジカ熱が流行して問題になっています。日本の代々木公園で感染者が見つかって話題となったデング熱と同じく、蚊の媒介によって感染していきます。ジカ熱は、ヤブカ(Aedes)属の蚊によって媒介されるジカウイルスによる感染症で、基本的には感染したヒトから他のヒトに直接感染することはありませんが、献血や性交渉による感染が指摘されています。一般的にはデング熱よりその症状は軽いと言われています。

多くは感染しても症状が出ないで終わるジカ熱

ジカ熱の流行は、、2007年にはミクロネシア連邦のヤップ島、2013年にはフランス領ポリネシアで約1万人が感染、2014年にはチリのイースター島、2015年にはブラジルおよびコロンビアを含む南アメリカ大陸で流行していて、2016年8月~9月に開催される予定のリオ五輪への影響も懸念されています。日本からも多くの邦人の渡航が予測されています。ジカ熱は、感染しても症状がほとんど出ない不顕性感染が約8割を占めているうえに、発症しても38.5度未満の軽度の発熱や、頭痛、関節痛・筋肉痛、疲労倦怠感、結膜炎といったような症状で、一般的には同じ蚊が媒介するデング熱などに比べて軽症と言われています。日本で発生した国内感染はありませんが、日本人が海外の流行地に渡航し感染して発症したケースがごく少数ですがあります。中南米でジカ熱を媒介しているネッタイシマカは日本にはいませんが、デング熱のときに有名になったヒトスジシマカがいるので、同様に感染地域に行っていた日本人帰国者や外国人旅行者が感染し、国内で蚊にさされ、それにより感染する可能性も指摘されています。潜伏期間は2~12日で、多くは1週間以内とされています。ジカ熱の検査方法は、血清や尿を採り、遺伝子検査法によるウイルスRNAの検出を行います。不顕性感染の割合が多く、潜伏期間を考えても知らない間に感染した人が国内に入ってきてしまう可能性は十分に考えられます。ジカ熱に感染してしまったら、直接的な治療薬はなく、出てきている症状に対する対症療法になりますが、ほとんどの場合、発症したとしても軽症ですみます。

ジカ熱と疑われている小頭症との関係

ほとんどのケースが軽症で治癒するジカ熱が問題となったのは、ブラジル保健省により2015年10月にジカウイルス感染と脳と頭の未発達を伴う先天的欠損症である小頭症の流行に関連があると発表し、さらにジカウイルス感染症に関連した死亡例が報告されたことが発表されたからです。実際に蚊が媒介するジカ熱感染流行の震源地となった地域では、わずか数カ月間で1000を超える小頭症の症例が報告されました。小頭症になると、一般と比べて頭が極端に小さくなり、脳の発達が遅れることで知的障害などが引き起こされます。小頭症の一般的に治療法はないのが現状です。ジカ熱のウイルスと小頭症との関連性については現在議論が続けられており、詳細な関係は不明ですが、国立感染症研究所は「小頭症との関連について詳細な調査結果が出るまで、可能なかぎり妊婦の流行地への渡航は控えるべき」としています。流行している地域に渡航する場合は、蚊に刺されないようにすることが大切で、皮膚の露出を避け、長袖を着て、虫よけのスプレーを使用し、蚊帳の中で寝るといった対策をとることが大切です。
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