国民の健康寿命の延伸とデータヘルスの今後

公開日: 2016年05月11日
著者: yakujiman
Yakujiman
プロフィール
  • yakujiman
  • 製薬会社の学術関連部門・薬事関連部門にて、製品の学術資料・パンフレットの作成、通知・通達のチェックと情報収集、添付文書・製品表示の原稿作成、製品広告のチェック等の仕事をしてきました薬剤師です。関連する業界の情報等を集め、管理薬剤師のためのマニュアル等の作成も行ってきました。今まで携わっていた製品は、医療用医薬品・一般用医薬品の他にも、医薬部外品・化粧品、サプリメント、衛生雑貨、試薬といった幅広い分野に渡っています。
アベノミクスの第3の矢として2013年発表された「日本再興戦略」において、『国民の健康寿命の延伸』が大きな柱としてあげられ、その中で全ての健康保険組合に対し、レセプト等のデータの分析、それに基づく加入者の健康保持増進のための事業計画として「データヘルス計画」の作成・公表、事業実施、評価等の取組を求めることが示されています。データヘルスを進めていくと、保険事業が効率的に行われ、健康意識の向上や医療費の適正化が図れるとしています。

データヘルスと健康医療情報の活用

私たちの健康医療情報に関しては、特定健診制度の導入やレセプトの電子化にともない、その電子的管理が進んでいます。全国どこで特定健診を受けても、基本項目はすべて同じで、健診結果も全国で同じ様式で電子的に保険者に蓄積されることになりました。こうした電子データが蓄積されることにより、レセプトや健診情報等を活用したいろいろな分析が可能になってきますが、『データヘルス』とは、こうした分析データを元にして、医療保険者が行う保険加入者の健康状態により即した効果的かつ効率的な保健事業を言います。健康保険法に基づく保健事業の実施等に関する指針では、保健事業の効果的かつ効率的な推進を図るためには、健康・医療情報を活用して、PDCAサイクル(計画―実施―評価―改善)の段階を繰り返すことが重要だということが示されています。実際には、データを分析し現状把握し、保険加入者の健康課題改善に向けた計画を立て、たとえば健康診断結果や生活習慣等の自己管理ができるツールを提供したり、糖尿病の重症化予防事業に取り組んだり、生活習慣病の予防のための特定保健指導等を充実させる取り組みが行われ、さらに生活習慣の状況や、特定健診の受診率などを調べ、見直し改善をしていくことになります。

伝えて行動を起こさせる力が大切なデータヘルスの今後

2013年にデータヘルスによる保険事業の実施指針が示され、モデル的ヘルス計画作成や実証事業などが行われ、2015年からデータヘルス計画の実施が始まっています。いろいろ試行錯誤される中、厚生労働省もいろいろ明らかになってきている課題について講演を行ったりしています。課題の一つは、保険事業者は、加入者に健康情報をわかりやすく伝えることが大切だということです。そんな中、健診結果を、得点化したり、血糖やBMIをレーダーチャートとして視覚的にわかりやすく表現したりすることによって、保険加入者に健康状態を把握しやすくする試みも行われています。個人の健康にとってその数値が持つ意味を明らかにすることが大切であり、その上で受診や行動変化を促すことが重要であるとしています。生活習慣の改善にいかに取り組みやすくするかが大切で、健康増進につながる行動に対してポイントを与え、ポイントに応じた特典を用意するといった工夫をしているところもあります。厚生労働省は、より良いデータヘルス計画の実施を目指し、データヘルス計画の一定の標準化、関係者同士の連携強化、保険事業者・自治体とヘルスケア事業者のマッチングを進めていく必要があるとしています。
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