戦う乳酸菌という表示の商品は機能性食品なのか

公開日: 2016年05月18日
著者: yakujiman
Yakujiman
プロフィール
  • yakujiman
  • 製薬会社の学術関連部門・薬事関連部門にて、製品の学術資料・パンフレットの作成、通知・通達のチェックと情報収集、添付文書・製品表示の原稿作成、製品広告のチェック等の仕事をしてきました薬剤師です。関連する業界の情報等を集め、管理薬剤師のためのマニュアル等の作成も行ってきました。今まで携わっていた製品は、医療用医薬品・一般用医薬品の他にも、医薬部外品・化粧品、サプリメント、衛生雑貨、試薬といった幅広い分野に渡っています。
最近、乳酸菌にいろいろな働きがあるかのような情報とともに、乳酸菌が配合された飲料やヨーグルトなどがコンビニやスーパーなどでも販売されています。2015年4月からは、今まで特定の保健の用途に関して機能表示ができた特定保健用食品(トクホ)と、栄養機能表示ができた栄養機能食品に加えて、機能性表示食品にも機能表示が認められるようになりました。しかし、乳酸菌を配合して「リスクと戦う乳酸菌」とコピーを打ち出しているものは、実は機能性食品ではありません。

乳酸菌の菌株の特徴を出した商品のコピー

乳酸菌の製品を見てみると、それぞれ乳酸菌の菌株の種類によってアピールしているものが違います。R-1乳酸菌(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus OLL1073R-1)を含んだ商品には、「強さひきだす乳酸菌」というコピーがあり、R-1乳酸菌がインフルエンザにも効果があるようなことがテレビの番組などでも説明されています。さらにLG21乳酸菌(Lactobacillus gasseri OLL2716)を含んだ商品には、「リスクと戦う乳酸菌」というコピーがあり、こちらもこの乳酸菌にはピロリ菌の増殖を抑制する効果があり、胃潰瘍の予防にも期待されているというようなことがいろいろなところで紹介されています。PA-3乳酸菌(Lactobacillus gasseri OLL2959)を含んだ商品には、「プリン体と戦う乳酸菌」というコピーがあります。PA-3乳酸菌は、実際に高尿酸血症モデルラットに経口投与すると、血清尿酸値の上昇が抑制されたという報告もあります。しかし、これらは特定保健用食品でも、機能性表示食品でも、もちろん栄養機能食品でもありません。特定保健用食品であれば、特保マークがあり、特定保健用食品の旨が記載されますし、機能性表示食品にしろ栄養機能食品にしろ、その旨が書かれるはずですが、記載がないということは、機能食品ではないということになります。

トクホでも機能性表示食品でもない戦う乳酸菌は違法?


機能みたいなことを言ってしまって薬事的に問題ないのでしょうか。これらの商品のコピーをよく見てみると、「強さひきだす乳酸菌」としか書いておらず、何の強さなのかが曖昧になっていますので、これだけをもって薬事的に問題があるとは言い切れません。同じように「リスクと戦う乳酸菌」といっても、「胃潰瘍のリスクと戦う」では薬事的にアウトですが、何のリスクかが明確になっていません。「プリン体と戦う乳酸菌」は、プリン体=痛風というイメージから、痛風を改善するということが暗示されているという考え方も厳しくみればありますが、製品には「プリン体への可能性に着目して選び抜いた乳酸菌」としか書いていません。どのように戦うのか、プリン体への可能性とはどういうことなのか、薬事的にはグレーと言えますが、明らか違反とは言い切れません。テレビや雑誌で乳酸菌の効果を紹介しているのは、大学の教授などの研究者で、その際は、商品については一斉でてきていませんので、広告ではなく単なる学術研究の発表であり、こちらも問題ありません。販売している企業が、乳酸菌の研究内容をホームページに載せていますが、こちらは商品のページとは一切リンクしていない形になっています。つまり商品と学術研究との関連性を断ち切ることで、純粋な学術発表資料という形をとっています。特定保健用食品として開発すれば、臨床試験や許可が必要になってきますし、届出でよい機能性表示食品においても、動物ではなく人で臨床試験を実施するか、一定のレベルに達している研究レビューを総合的に評価しなければなりません。薬剤師の職務が拡大していくなか、こうした食品に関する問い合わせも増えてくることが予想されますが、この商品はどのカテゴリーのものに属し、機能性食品なのかどうか、エビデンスはどうなのかという意識を持つ必要性も高まってきています。
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