毒薬・劇薬の販売手続き・保管・記録について

公開日: 2016年05月20日
著者: yakujiman
Yakujiman
プロフィール
  • yakujiman
  • 製薬会社の学術関連部門・薬事関連部門にて、製品の学術資料・パンフレットの作成、通知・通達のチェックと情報収集、添付文書・製品表示の原稿作成、製品広告のチェック等の仕事をしてきました薬剤師です。関連する業界の情報等を集め、管理薬剤師のためのマニュアル等の作成も行ってきました。今まで携わっていた製品は、医療用医薬品・一般用医薬品の他にも、医薬部外品・化粧品、サプリメント、衛生雑貨、試薬といった幅広い分野に渡っています。
薬剤の中には、その作用が強く人体に強い影響を及ぼし、リスクが高いことから特別な規制により法的管理が義務づけられているものがあります。麻薬や向精神薬、覚せい剤原料等がこういった規制がかかるものに該当します。麻薬や向精神薬は麻薬及び向精神薬取締法、覚せい剤原料については覚せい剤取締法により所持や取扱禁止などについての規制が行われていますが、劇薬・毒薬についてもリスクが高いことからその保管や所持について医薬品医療機器等法で規制されています。

毒薬・劇薬・毒物・劇物との違いとは

劇薬と毒薬の線引き、劇薬と劇物はどう違うのか、非常に紛らわしいことですが、きちんとした定義があります。まず毒物や劇物は毒性・劇性が強い物質ですが、医薬用外のものになります。つまり毒性・劇性があるが医薬品ではないもので、表示においても「毒物」の場合は「医薬用外」の文字と赤地に白文字で「毒物」、「劇物」の場合は「医薬用外」の文字と白地に赤文字で「劇物」と表示することが義務づけられています。これらは医薬品ではないので、医薬品医療機器等法では規定されず、毒物及び劇物取締法の規制対象になります。「毒物」は誤飲した場合の致死量が2g程度以下で、シアン化合物や水銀化合物、アジ化ナトリウムなどがこれに該当します。「劇物」は誤飲した場合の致死量が2~20g程度で、塩酸、硫酸、硝酸といったものも劇物に該当します。一方「毒薬」「劇薬」は、内服や注射などで人の体内に吸収された場合に副作用や有害事象を引き起こす可能性が高い毒性・劇性の強い医薬品で、厚生労働大臣が指定したものになります。「毒薬」は経口投与による致死量が体重1kgあたり30mg以下、あるいは皮下注射による致死量が体重1kgあたり20mg以下のものなどが指定対象になります。不整脈の治療に用いるアミオダロン塩酸塩、コリンエステラーゼ阻害剤であるジスチグミン、多発性骨髄腫に用いられるサリドマイドなどが毒薬に該当します。
「劇薬」は経口投与による致死量が体重1kgあたり300mg以下、あるいは皮下注射による致死量が体重1kgあたり200mg以下のものが指定対象になります。

毒薬・劇薬の管理についての留意点

毒薬や劇薬は、医薬品医療機器等法で、取り扱う者は、これを他の物と区別して、貯蔵し、又は陳列しなければならないとされていて、さらに毒薬を貯蔵し、陳列する場合は、鍵をかけなければいけないことになっています。毒薬は直接の容器や被包に、黒地に白枠・白地で「毒」の文字と商品名が、劇薬は白地に赤枠・赤字で「劇」の文字と商品名が記載されています。管理においては、他の物と区別し、毒薬は鍵をかけるということですが、調剤面でいうと、普通薬と同じで特別な規定はありません。もちろん普通薬に比べて人体に与える影響が大きいことから、特に調剤過誤を防ぐために細心の注意が必要なのは言うまでもありません。毒薬や劇薬は、14歳未満の子供に交付してはならず、品名・使用目的・数量・年月日・住所・職業・受け取る人の名前・署名又は記名捺印が入った文書を2年間保存することとなっています。交付は実際に手渡す行為であり処方箋による販売・授与は交付にはあたりません。処方箋によらない一般用医薬品には毒薬はありませんが、劇薬のものはあり、これについてはネット販売は禁止されています。店舗での販売では、調剤された医薬品ではないので、もちろん14歳未満への販売の禁止や文書の保管などの規制がかかってきますので注意が必要です。
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