蚊により感染が広がっていったデング熱

公開日: 2015年02月20日
著者: yakujiman
Yakujiman
プロフィール
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  • 製薬会社の学術関連部門・薬事関連部門にて、製品の学術資料・パンフレットの作成、通知・通達のチェックと情報収集、添付文書・製品表示の原稿作成、製品広告のチェック等の仕事をしてきました薬剤師です。関連する業界の情報等を集め、管理薬剤師のためのマニュアル等の作成も行ってきました。今まで携わっていた製品は、医療用医薬品・一般用医薬品の他にも、医薬部外品・化粧品、サプリメント、衛生雑貨、試薬といった幅広い分野に渡っています。
2014年8月、デング熱の国内感染がニュースになりました。感染源となったヒトスジシマカという蚊が生息していると見られた代々木公園が一時閉鎖になるなど、大きな社会問題となりました。

2つの病態があるデングウイルス感染

感染が広まった原因としては、海外でデング熱に感染した人が国内に入り日本にいるヒトスジシマカに血を吸われ、その血を吸った蚊が別の人を刺ていったという説や、代々木公園で開催されるイベントなどに参加した海外からの渡航者の荷物にウィルスを持った蚊が紛れ込んでいたという説などもあります。しかし、デング熱は戦前に沖縄で流行がありました。流行地である南方との行ききが大きな原因だと言われています。

デング熱は、4種の血清型が存在し、非致死性の熱性疾患であるデング熱と、重症型のデング出血熱やデングショック症候群が起こる2つの病態があります。海外の渡航歴なども加味し、スクリーニングテストとして抗原検査が行われ、陽性となった場合には確定診断のため、PCR検査・ウイルス分離検査・抗体検査などの詳細なウイルス検査により確定診断されます。


デングウイルスによる症状と薬物治療

感染してもほとんど症状が出ない人もいます。またデング熱(DF)は、症状を示す患者の大多数で見られ、感染3~7日後、突然発熱がおこり、頭痛特に目の奥が痛み、筋肉痛・関節痛を伴うことが多く、食欲不振、腹痛、便秘を伴うこともあります。腹痛や腹部圧痛、持続的な嘔吐、粘膜出血、無気力等の症状がある場合は、特に注意が必要です。症状は1~2週間ほど続きますが、通常は後遺症なく回復していきます。人から人に感染するものではなく、ヒトスジシマカという蚊を媒介して感染していきますので、蚊に刺されないようにすることが予防の第一歩になります。

まれに重症例としてデング出血熱(DHF)があり、突然、血漿漏出と出血傾向を主症状とした重篤な症状が、発熱が終わり平熱に戻りかけたときに起こります。不安・興奮状態となり、汗が出て四肢は冷たくなり、胸水や腹水が極めて高率にみられ、多くの例で細かい点状出血がみられます。WHOではデング出血熱の病態分類をGrade1からGrade4の4つに分類し、特にGrade3の頻脈や脈圧低下などの循環障害、Grade 4のショック状態については、デングショック症候群と呼ばれます。4つの型のうち型が違うものに対し、2度目の感染により重症化しやすいとも言われています。治療は、対症療法となるので、輸液やアセトアミノフェンの投与になります。サリチル酸系等のNSAIDsは、出血傾向を助長する可能性があるので禁忌です。重症化したデング出血熱の場合は、循環血液量の減少、血液濃縮を調整するための輸液療法が重要となります。
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