今後も注視していきたい混合診療の行方

公開日: 2015年02月20日
著者: yakujiman
Yakujiman
プロフィール
  • yakujiman
  • 製薬会社の学術関連部門・薬事関連部門にて、製品の学術資料・パンフレットの作成、通知・通達のチェックと情報収集、添付文書・製品表示の原稿作成、製品広告のチェック等の仕事をしてきました薬剤師です。関連する業界の情報等を集め、管理薬剤師のためのマニュアル等の作成も行ってきました。今まで携わっていた製品は、医療用医薬品・一般用医薬品の他にも、医薬部外品・化粧品、サプリメント、衛生雑貨、試薬といった幅広い分野に渡っています。
混合診療とは、保険診療と保険外診療の併用をすることで、保険診療の範囲内の分は健康保険で賄って、保険範囲外の分は、患者が医療機関に支払ういわゆる自由診療による自己負担にするというものです。現在、日本においては原則として混合診療については認められていません。

混合診療禁止の例外、特定療養費制度

ある治療をしたときにすべて保険の範囲内での治療であれば、問題なく保険診療ということになります。しかし、それに加えて保険範囲外の治療を行った場合、本来は保険診療である部分に関しても自由診療扱いにされ、患者は全治療分、全額を負担しなければならなくなってしまいます。つまり All or Nothingで、すべて保険の範囲内であれば問題ないのですが、一部でも保険外治療をした場合は健康保険が利用できないということになります。

混合診療は原則禁止となっていますが、一部に例外があり、保険診療と自由診療の併用が認められています。特定療養費は、保険診療と自由診療の併用が認められていますが、その範囲はごく限られた範囲になっていて、国が認めた評価療養及び選定療養のみしか認められていません。

先進医療を含む評価療養については、国が認めた医療機関のみとなっていて、保険薬局についても一定の基準を満たした薬局でしか、特定療養費を算定することができなくなっています。

選定療養には、差額ベッドや予約診療、時間外診療、180日以上の入院等がありますが、こういったケースは、検査や一般診療、入院費などの基本部分は健康保険が利用でき、差額ベッド代や先進医療にかかった費用分については全額負担になります。

一方、美容整形、歯列強制、避妊手術、人工中絶、人間ドック、健康診断、薬価基準収載外医薬品の使用、保険外診療等については、原則自由診療となり全額自己負担になっています。


立場により違いがある混合診療への考え方

混合診療は、立場によって賛否両論があり、考え方も違ってきます。厚生労働省は基本的に反対、財務省は推進、日本医師会等では患者本位で考えるのであれば、健康保険の範囲を拡大すべきだという立場になっています。

厚生労働省が混合診療に反対する理由としては、誰でも一定の負担で安心して医療が受けられることが医療の原則であり、混合診療を導入すると、患者の自己負担増や医療機関の質の評価の問題があるとしています。

一方、財務省は公的保険で賄う部分が減り、医療費支出を抑制できるというスタンスに立っています。すべてを健康保険範囲内でとなると、現場で制約が出てきて医療の選択肢が広がらないという問題点があり、医療の進歩を遅らすことにもなりかねません。

混合診療が推進されていくと、弱者切り捨てのが懸念材料となってきます。政府の財政難を理由に最新医療が健康保険に導入されなくなり、すべてを患者の自己負担とし、費用負担できる人にしか必要な医療を受けらなくなってしまうという可能性もあり、日本医師会等は非常にここを強く懸念しています。行政の動きをしっかりとチェックしていかなければならない重要なポイントになっています。
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