まだ開発の歴史が浅いRNAi技術と疾病治療

公開日: 2015年02月20日
著者: yakujiman
Yakujiman
プロフィール
  • yakujiman
  • 製薬会社の学術関連部門・薬事関連部門にて、製品の学術資料・パンフレットの作成、通知・通達のチェックと情報収集、添付文書・製品表示の原稿作成、製品広告のチェック等の仕事をしてきました薬剤師です。関連する業界の情報等を集め、管理薬剤師のためのマニュアル等の作成も行ってきました。今まで携わっていた製品は、医療用医薬品・一般用医薬品の他にも、医薬部外品・化粧品、サプリメント、衛生雑貨、試薬といった幅広い分野に渡っています。
分子生物学の分野でノーベル賞といえば、最近では日本の山中伸弥教授のiPS細胞(人工多機能性幹細胞)の受賞が記憶に新しいと思いますが、2006年のノーベル生理学・医学賞を受賞したAndrew Fire教授、Craig C. Mello教授の功績は、RNAiの発見でした。

発展途上の分子生物学の分野を代表するRNAi の技術

RNAiとは、RNA干渉のことで、RNAiのiは、interference(干渉)の略になっています。
干渉とは、遺伝子発現を抑制するということで、RNAiにより、任意の遺伝子の発現を抑制することが可能になるということです。この技術を応用し、いろいろな疾患の原因となっているタンパク質を作り出している遺伝子に作用し抑制する医薬品を開発できれば、病気の治療・予防に役立てていくことができるのです。

遺伝子に直接作用して効果を発揮するので、遺伝子機能の解析が進むと、医薬品をつくる創薬作用が一気に広がり、医薬品の開発期間の短縮も期待できます。方法としては、抑制したいmRNAの塩基配列の一部と同じ塩基配列をもつ二本鎖のRNAを細胞の中に入れます。すると細胞の中でRNA分解酵素が働き、siRNAと呼ばれる短い二本鎖のRNAが切り出されます。このsiRNAに複数の酵素がつき、ひとかたまりの一本鎖の複合体になります。これがmRNAと結合すると、酵素の作用によりmRNAがバラバラに分解され、遺伝子発現が抑制されるようになります。


RNAi の開発状況と今後への期待

RNAiの技術で重要な役割を果たすsiRNAは、体内で生存する時間が短いため、制御することが大変難しく、多くの技術的困難を伴うため、多くのメガファーマ(新薬開発総合企業)が開発から撤退してきています。siRNAは静脈内に投与するとすぐに代謝され、血中から消失しまうため、その安定化を図る製剤技術も必要となってきます。

一方、siRNAとは別法で一本鎖のRNAとして切り出されるものにmiRNAがあり、タンパク質と複合体を形成し、標的となるRNAと結合し遺伝子発現を阻害する技術として、研究が盛んになっています。

RNAiの技術はRNA干渉することで、癌などの疾患治療に応用することができ、RNA干渉を誘導可能にする方法等は、世界中で研究されています。RNAiは発見されてまだ十数年しか経っていない技術ですが、エボラ出血熱で話題になっているエボラウイルスと同じ仲間のフィロウイルスの一種であるマールブルグウイルスに対する治療効果等も確認されていて、エボラウイルスに対する治療法の開発の一候補としても将来期待されています。
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