最大公約数ではなく個人個人をみつめたテーラーメイド医療

公開日: 2015年02月20日
著者: yakujiman
Yakujiman
プロフィール
  • yakujiman
  • 製薬会社の学術関連部門・薬事関連部門にて、製品の学術資料・パンフレットの作成、通知・通達のチェックと情報収集、添付文書・製品表示の原稿作成、製品広告のチェック等の仕事をしてきました薬剤師です。関連する業界の情報等を集め、管理薬剤師のためのマニュアル等の作成も行ってきました。今まで携わっていた製品は、医療用医薬品・一般用医薬品の他にも、医薬部外品・化粧品、サプリメント、衛生雑貨、試薬といった幅広い分野に渡っています。
テーラーメイド医療はオーダーメイド医療とも言われ、患者の個々の体質に合わせた医薬品を作ったり、治療を行ったりすることです。オーダーメイド医薬品は、テーラーメイド医療を行っていく中で使用される重要な医薬品であり、その開発にはもっぱら遺伝子情報が利用されています。遺伝子情報により疾病の発生の原因、医薬品に対する個人個人の感受性の違い等を予測することで、本当に患者に適した治療の可能性を拡げていきます。

テーラーメイド医療の流れと目的

ヒトゲノムプロジェクトによってヒトの遺伝子の解析技術が進み、ヒトの遺伝子情報を利用して医薬品を開発するゲノム創薬が行われるようになりました。その応用として、テーラーメイド医療も発達してきました。本来の医薬品は万人に効く薬を目指して開発され、通常は臨床試験を行って何パーセントの人に効果があり、どのくらいの人に副作用が発現したかというようなことで、その有用性が評価されてきました。これに対してテーラーメイド医療は、個人個人の体質に合わせた薬の種類、量、投与方法、治療法等が細かく設定されます。このテーラーメイド医療では、病気の検査や診断にDNAチップ等が用いられるなどして治療法が決定されるというような流れになっています。


テーラーメイド医療の発展と薬剤師

テーラーメイド医療の中の疾病研究の分野では、ALS(筋萎縮性側索硬化症)や胃がんなどの発症に関連する遺伝子の解明が行われてきました。オーダーメイド医薬品の開発分野では、抗がん剤タモキシフェンの有効性、抗凝固剤ワルファリンの副作用発現に関する遺伝子の研究など数々の研究結果が出されています。2010年にはタモキシフェンの乳がんに対する効果関連遺伝子が見つかり、2011年にはカルバマゼピンの薬疹関連遺伝子が見つかっています。さらにワルファリンの維持投与量関連遺伝子も見つかっています。

例えばタモキシフェンは、服用後、肝臓でのCYP2D6という代謝酵素の働きにより、活性型に変化することで効果を発揮しますが、このCYP2D6の酵素活性に個人差があるため、効き目にも個人差がでてきてしまうことがわかっています。したがって、酵素CYP2D6の活性が高いか低いかを調べることで、タモキシフェンが効くか効きにくいかを前もって推測することができます。

こうしてより有効な医薬品を個々に選択して治療していくというのがテーラーメイド医療の考え方になります。テーラーメイド医療が今後もっと盛んになっていくと、薬剤師もより一層、個々の患者のことも含めた情報を整理し、テーラーメイド医療に関して勉強していく必要が高まってくるのでしょう。
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