効率的に薬の効果を発揮させるプロドラッグ

公開日: 2015年02月20日
著者: yakujiman
Yakujiman
プロフィール
  • yakujiman
  • 製薬会社の学術関連部門・薬事関連部門にて、製品の学術資料・パンフレットの作成、通知・通達のチェックと情報収集、添付文書・製品表示の原稿作成、製品広告のチェック等の仕事をしてきました薬剤師です。関連する業界の情報等を集め、管理薬剤師のためのマニュアル等の作成も行ってきました。今まで携わっていた製品は、医療用医薬品・一般用医薬品の他にも、医薬部外品・化粧品、サプリメント、衛生雑貨、試薬といった幅広い分野に渡っています。
プロドラッグは、服用後に代謝されてはじめて作用する薬です。代謝されることによって目標部位に到達してから薬理活性をもつ化合物に変換され、薬理効果を発揮(活性化)します。目的とする組織で効果を発揮するため、副作用の軽減が図れたり、味の改善が図れたり、また消化管からの吸収を改善したりするメリットがあります。

副作用の胃腸障害を軽減するプロドラッグ

プロドラッグは、活性型の薬物に対して、薬物動力学的に不利な点を改善した薬です。例えば活性型だと溶解性や吸収性が悪いといった場合、活性型の薬物を修飾して吸収されやすい形にした化合物になっています。活性型の薬の化学構造の一部だけを少し変えたプロドラッグは、服用した時の形のままだと体に対する影響はありませんが、肝臓等で代謝されて活性型に代わると、薬理効果を発揮するようになります。

プロドラッグの代表例として知られている解熱鎮痛薬のロキソニンの活性型であるtrans-OH 体では、プロスタグランジン生合成を抑えて優れた解熱鎮痛効果を発揮する反面、胃粘膜刺激作用が強く、副作用として胃腸障害が出やすくなってしまいます。薬としては、胃腸を通っている時は、胃粘膜刺激作用が少なく、吸収されてからは強い活性をもつものが理想となります。そこでロキソニンは、胃腸を通過し吸収された後、肝臓で代謝されることにより活性型であるtrans-OH 体になるような化合物として開発されました。


プロドラッグが代謝で活性化される場所

抗インフルエンザ薬として知られるタミフルもプロドラッグです。タミフルの活性型は、タミフルの化学構造の一部であるエチルエステルが加水分解してカルボン酸になったものです。実際に薬理作用を発揮するのはカルボン酸になった活性型ですが、カルボン酸の分子構造をもっている形だと、細胞膜に対する透過性が悪く、吸収されにくいという欠点があります。そこで、カルボン酸の部分をエチルエステルにすることで脂溶性を改善し、消化管からの吸収効率をあげたプロドラッグとしてタミフルが開発されました。タミフルは服用後、スムーズに吸収された後、肝臓の代謝酵素でエチルエステル部分がカルボン酸になることで効果を発揮します。

プロドラッグが代謝されて活性化する場所は、肝臓とは限りません。パーキンソン病薬として知られるレボドパは、脳内でドパミンに代謝されて効果を発揮するプロドラッグです。パーキンソン病に効くドパミンですが、そのまま使用すると、血液脳関門(BBB)を通過できないので効果が発揮されません。したがって血液脳関門(BBB)を通過し、作用させたい脳内で代謝されドパミンに変換されるレボドパの形で薬として使用されています。
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